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お父さんは『勇者』さま  作者: 鴉野 兄貴
『黄金の鷹』と『真銀の隼』

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こんにゃく? じゃか コンヤクシャ? だかわからない話

 フィリアス・ミスリルです。

うちのお父さんが勇者であることは前にも話した通りです。

そして父が西部都市国家群の勇者さんと同一視され、美形の独身と思っていらっしゃる方が少なからずいたのも語ったかもしれません。

私がもっと幼いころは父の妻や妾(とうじの私は『メカケ』の意味が解りませんでした)にならんと少々歳を召した女の人や美女、若い娘が訪問していたのですが、我が家の襤褸屋敷ぶり(それだって私とラフィエルはちゃんと可能な限り維持に心を砕いているのです!)と主人の容姿に驚き、帰っていたものです。

いえ、一部の、いや大部分の婦女子は別の意味で帰ろうとしませんでしたのでご近所様に追い払われたというのが真相ですけど。

父の容姿は。とても優れています。

酒場で歌われる星をも射落とす美男子っぷりではありませんがその。

「ファルちゃん~~~~~~~~~~~!」「むに」


 格別苦手そうにする父に構わず抱き着くのは私的には『オトモダチ』と思っているお姉さんです。

名前はエフィー=ネイ・ル・アース。ロー・アースさんの妹さんです。

歳もわずかしか違わず、幼いころは人見知りした私とよく遊んでくれました。ええ。

「うぷぷ」あ。父が呼吸困難に。

「エフィーさん。離してください」「ふぃりあすちゃんが他人行儀で怖い」

エフィーさんってエルフのくせに。その。あの。

私の視線が彼女の身体を隠すにはあまりに布地が少なくなってきた貫頭衣の胸元に伸びているのを感じてか彼女は父を離して胸を両手で。

明らかに貫頭衣の布地の横からはみだし気味の胸だけではなく、その大きくくびれた腰元から広がる腰骨もまた貫頭衣からはみ出し気味。貫頭衣のロングスカートからはしなやかに鍛えられたきれいな脚が丸見えで。

うらやましくなんてないですよ? あんなに大きかったら邪魔ですし。ええ。


「ファルちゃんとはちっちゃいころよく遊んだなぁ」


 頬を染めて感傷に浸る彼女ですが。

「ねね。いつ結婚してくれるの。ファルちゃん」「……」

この辺が、私が彼女が苦手なところなのです。

昔のエフィーさんは幼い私から見てもとてもとてもかわいらしい美少女だったのですが、今のエフィーさんは美少女は美少女でも方向性がかなり。

「魔導士の勉強を本格的にはじめてから、しばらくの間ファルちゃんと遊べなくて寂しかったなぁ」

その数年の間に彼女の手足はぐんと伸び。その優美な曲線は異教の戦士が使う刃物のように磨きがかかり。

オトコノコなら目を外すことができないほどに彼女の容姿は妖艶なものになってしまいました。

「ねえ。ファルちゃん」そしてそれほど妖艶な容姿になったにも関わらず彼女の態度は私や父に対して子供のころのままなのです。

父の表情はちょっと『困った』から『涙目』に。

「あっ?! 逃げたッ?!」ですよね。理解できます。

父や私の記憶の中の彼女と現在の彼女はあまりにもかけ離れているのです。

「フィリアスちゃん。追っかけて!」「自分で追いかけてくださいよっ?!」

父の俊足に敵う生き物はほとんどいません。

こうして私たちは協力して彼を追うのです。

「お屋敷から出ないでください。ものを壊さないでください。旦那様もそうですが、お昼までに食堂に」

我が家の執事の言葉に元気に応えた私たち娘二人は、父を求めて屋敷の中を走り出しました。


 私の名前はフィリアス・ミスリル。

父の名前はファルコ・ミスリル。

私たちの親子仲は。結構いい。

「そういえば、ファルちゃんと結婚したら私ってふぃりあすちゃんのお母さんになっちゃうのかなぁ」

こんなに歳の近い母親は。結構ですから?!

一応、この女性は幼い私からみて親友でした。

その態度が今なお続いているのが。

子供扱いされているようでちょっと歯がゆいですが。

「私のほうが先にみつけてやる!」「負けないわよ!」

私も、近いうちに彼女のようなオトナの女性になるのでしょうか。

あ。でもこんなに胸はいりません。

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