ぷろぽーずはおはやめに
私のお父さんは勇者様です。
だからというわけではないと思いますが女性にはとても人気がありまして。
と、いうか男性にも人気があるのですが。彼は幼児にしか見えない容姿ですし。
「お父さん」「みょも?」
今日の彼は薪を割るために小さな鉞を振り上げこんこん。スパっ!
危ないですよ。最近は私のほうが得意だったりします。
「ねね。父さんはさ」「ん」薪を小さな体全体で持っている彼。
「お母さんになんていってプロポーズしたの」「風呂にお坊さん?」違います。
なぜか慌てふためく彼ですが、たぶん相当恥ずかしいことを言ったのでしょう。
数日後。
チーアさんが忙しい合間を縫って遊びに来てくれました。
なぜか少々ご機嫌ななめのようですけど。
「なんかロー・アースの奴さ」「?」
彼女の頬は機嫌悪そうに彼女の表情に合わせて右左。
「『介護は任せていいだろうか』とか『下着洗ってくれ』とか意味がわからん。バカにしてるのか」え? えーと。
「まったくもって意味が分からん」
彼女はそうふてくされながらつぶやいていました。
足元でお父さんが私の服の端をぐいぐい。
「ちいあにそういう風に話しても無駄だよ。話す相手が悪いから」ですねえ。
人には愛を説く癖に自分のことはイマイチな高司祭様にお茶を淹れる父を見ながら私たちはこう思いました。
「ロー・アースさんごめんなさい」「なみあみだなのの」
私の名前はフィリアス・ミスリル。
お父さんの名前はファルコ・ミスリル。
私たちの親子仲は。結構いいと思う。




