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お父さんは『勇者』さま  作者: 鴉野 兄貴
『黄金の鷹』と『真銀の隼』

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こいってなんでしょうか

「ねね。フィリアスちゃんには好きな人いる?」「お父さん。ラフィエル」


 こんにちは。フィリアス・ミスリルと申します。

城塞都市国家ローラに住まう11歳です。

「もうっ! そういうのじゃないってば。でもファルちゃんはかわいいよね」「うちの父ですよ。この間みたいに全力で抱きしめたりしないでください。おびえていましたから」「なんでよ~!」

きゃあきゃあと抗議する学友に呆れ、男の学友から『アレのどこが勇者なんだ。あれなら僕のほうが強いよ』と揶揄されて。だいたい五年の経験で慣れました。

でも、お父さんは強いですよ。怖くてもちゃんと助けに来てくれるんです。

世界中の不思議なことを知っています。そしてやさしいのです。

疲れていても傷ついていてもそんなそぶりを見せないので時々叱ってあげますけど。

「あ。ラフィエルさんにお菓子あげて」「どうしてラフィエルに」理解不能なのですが。

「だってカッコいいじゃない?! 妖精の執事よ? 魔性『プーカ』だっていうからちょっと怖かったけど」うーん。うーん。その話はあなたのお父さまの耳に入らないところでしてくだいね。

「あ。でもミック先生超かっこいい」「ロンさんも子供にやさしいよね~!」「ロー・アースさんまた来ないかな。今度はどんな玩具持ってきてくれるんだろう」

父の旧友はバリエーションに富んでいて、学友にも好かれているようです。


「ねね。お父さん」「もきゅ」


 久しぶりに家に帰ってきたお父さんは積み木を散らかしてカーペットの上で足をぱたぱた。汚いですよ。

「こいってなに?」「ふなのなかま。ものによっては赤かったり金色だったり」違うと思います。

「あ。藻を食べるんだよ。だからパンを使うと間違えて食べるから小麦粉を練り固めると釣り餌にできるんだ」お父さんすごいっ?! それ知らなかった! 学校の先生が『鮒を釣る方法はないのか』って泣いてたし!

結局網でとってましたけど。


 ころん。

彼の瞳がちょっと真剣なものになりました。

「ろう?」???「みっく?」「意味が分からないですけど」

しばし思案してお父さんはこうおっしゃいました。「ろんはだいすきだけど、ちょと」「????」

積み木を拾い上げてラフィエルが助け舟。「旦那様。散らかさないでください」「みゅ」

こんど三人で釣りに行きましょうね。

って。なんの話をしていましたっけ。まぁいっか。


 私の名前はフィリアス・ミスリル。

お父さんの名前はファルコ・ミスリル。

私たちの親子仲は。結構いいと思う。

「もうっ! お父さん! 水が撥ねちゃったじゃない!」「旦那様お見事です」

「今日はいっぱい釣れたから、ろうたちにもわけてあげよう!」

なお。お父さんが持ち込んだ魚籠びくの底が抜けていたのが発覚したのは帰宅前でした。

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