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お父さんは『勇者』さま  作者: 鴉野 兄貴
『黄金の鷹』と『真銀の隼』

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処刑(チーア=ユースティティア視点)

 『ユースティティア様!!! お逃げください!』

ぼこんと壁が割れて中から小うるさい持祭が現れた時、私……おれは腹を抱えて笑いたくなるのを必死で抑えた。

「そ、そ、ソフィア持祭?!」「お助けに参りました!」

というより、この子の暴走に付き合わされた兵士さんたちが哀れなのだけど。

ええい。しゃらくせぇ。

「ソフィア。ソフィアナ」「はい! 高司祭様!」

何気なく昔の恩人の名前を付けたのが大失敗。


「兵士さんたちを殴りましたね」「そ、それは高司祭様をお助けするために」


 もし高司祭さまの玉体に野獣のような男どもが何かすることがあろうものならとか言いながら天を仰ぐ彼女にため息をついてしまうおれ。

「わたくし。もとい俺が性的被害に遭いそうになったら安全なところに移動する祝福が常時かかっているのを知っていますよね。もとい。知っているだろがこのお馬鹿」「あっ?!」

どうやら忘れていたらしい。皆知っていると思っていたがこの子はそういううかつなところがあるし。

「ここだけの話、先ほど女性の見張りに交代してもらえるように便宜を図られるところでしたので助かったと言えば助かったのですが」

王族の連中は本当にろくなことをしませんね。ええ。

「寒いなぁといって軽く胸元を見せてやっただけなのに」「そ、そのような愚かしく。はしたないことをっ?! 女神の化身とされるユースティティア様がそのようなことをせざるを……おいたわしや」

この性格だからエフィーも面倒になったんだろうなぁ。はぁ。

「襲ってくれたら万々歳で逃げれるところを、『女騎士』にされかけたから困ってた」しかもそいつは王族で知り合いと来ている。

非情に危険なところだった。マジで。


 しかし単独で王城に乗り込んで要人専用の獄に入ってくる考えなさはどうかと思う。後の処理を思うと今から胃が痛くなりそうだ。

「刑を受けても私は死にませんから問題は」「そういう問題ですかッ?! 私の気持ちはどうなるのですかっ?!」あ。本音でたな。

「高司祭様が反逆者のそしりを受けるなど私に耐えられると」「耐えろ」かなり迷惑している。本当に。

「それより、ファルコがヤバい。あいつならすぐ逃げれるだろうから、逃げる気ならそろそろ助けに来ると思ってたんだが」「あ。大丈夫です」なぜ?


「ファルコ様なら、先ほど見た限りでは見張りの兵士と石ならべで遊んでおりましたから」


 そんな理由で助けに来るのが遅れているのかよっ?!

あいつ、後で覚えていろよっ?!!!

「まぁいいや」俺は壁を蹴っ飛ばして隠し通路を出す。

この手の獄にはつきものらしい。本末転倒にもほどがあるが。

「ファルコが残っているのは、別の理由だろうさ」俺は彼女を手招き。

「別の理由?」「俺たちには『早く逃げろ』ってこと」

まったく。騒ぎを余計拡大してどうするんだよ。

とはいえ、感謝している。

この子の暴走がなければ私は責任と悲しさで押しつぶされていたはずだから。

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