表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と店長の他愛もない話。  作者: 仮『どん』
私と店長のニセコイ計画。
15/41

#15 肝心の彼女は何を想う。

今回、タイトルはシリアスっぽいですが全然そんなことはないです。格好つけただけです(笑)


短めですし、はじめましての方も読んでいって下さると嬉しいです。


では〜。


テスト期間まであと2日に迫った水曜日。

教室内にも、そろそろ始まるぞーという空気が漂い始めている。


だが、そんな湿った空気などお構い無しに、今日も元気(バカ)な女の子が1人。


「ぅぉお隣さぁぁぁぁん!!」


参考書片手に問題を出し合っている人達の間をすり抜けて、私の方に向かってくるのは莉那ちゃんだ。


キキィッ、と私の机の前で急ブレーキを掛けた彼女は、勢い余って身を乗り出してくる。


「ハァ、ハァ。彩音ちゃん、聞きましたよ〜」


その目はギラリと輝いている。恐らく今回も、早とちりで勘違いな妄想スキャンダルをでっち上げたのだろう。


「な、なにを?」


しかし、恐る恐る尋ねた私に返ってきたのは意外に普通の回答だった。


「次の土曜、遊びに行ってもいいんだよねぇー」


「あ、あぁ、そのことか。まぁテスト期間中だから勉強するんだけどね。遊ぶのは程々にして」


「ふっふっふっ。彩音ちゃんのメイド服姿を写真に収められるのならば――」


前言撤回。

やっぱり彼女は今回も、見事なまでに何かを間違えている。

そして、不敵な笑みを浮かべ去っていくそんな莉那ちゃんを見て、私は改めて思うのだった。


この計画、本当に上手くいくのだろうか? と。




◇◆◇◆




時は変わって昼休み。


今日の昼食はあんぱんとカレーパンの二品。

子供の頃、幼稚園で良く流れていたあのアニメを思い出してしまいそうな組み合わせだが、計200円とお手頃な値段である。


子供達のヒーローも、テレビから一歩出れば1体100円というのだから、シビアな世界だ。


「おーおー、お隣さんのお昼食は、愛と勇気だけが友達のヒーローさんじゃないですか」


私の目の前でニヤニヤしているのは、例の重要人莉那ちゃんさん。


「いやいや、それは言葉のあやだから。彼らにも普通の友達いると思うよ?」


「いいや、いません。今お隣さんの机の上にいるそいつらも、自分達を友達同士だとは思っていません。ただのヒーロー仲間です」


「うわぁ、名作が汚されていく」


遂にアンパマとカレーパマをそいつら呼ばわりする自由人莉那ちゃんさん。


そもそもヒーロー仲間ってなんだろう。

それは友達じゃないのか。



「よしよし、後は私の持ってきた食パンを合わせれば晴れて3人組の完成ですね」


「なんで今日に限って食パンなの?!」


私のツッコミがいつもより静かな教室に響き渡った。




◇◆◇◆




友達と2人でヒーローを喰らう昼休み。

どうしてこうなった。


食パンのヒーローまでもが加入したことにより、シュール度は倍増。

あんパンを口に入れるのにも少し躊躇ってしまう。


しかしそんな私をよそに、家から持ってきたチョコクリームをその食パンに塗りたくりなから、莉那ちゃんは言う。


「そうそう、ヒーローと言えば、お隣さんのお父さんって何してる人?」


「…………いや何が『と言えば』なのかよく分かんないんだけど、何、『一家のヒーロー=お父さん』みたいな繋がりなの?5年位前のヒット曲思い出したんだけど、それに『お隣さんのお父さん』って複雑だよ普通に彩音ちゃんで――」


「まぁまぁ、良いじゃないですか。私との会話でそんな細かいことは気にしないでくださいよ」


私の渾身のツッコミも、莉那ちゃん相手ではただの一言で片付けられる。

こうなるともう全てを諦めて会話を続けるしかない。


「お父さんか……、ウチは農家だからね。野菜作ってる人?」


「うんうん、農家かー。って農家っっ?!日本の未来を一身に背負うあの農家様なのですか?!」


どの農家だ。ウチの父親を勝手に崇めないでくれ。


ていうか、さっきから会話のキャッチボールが全然成り立っていない気がする。

こっちは何とか返していると言うのに、彼女は私の捕れないボールばかり投げてくるのだ。


「莉那ちゃんのお父さんは何してるの?」


これ以上の暴投は受け止めきれないと悟った私は、会話の向きを180度変えてみることにした。

ここからは適当に相槌を打つだけの聞き手に回るのだ。


――だが、


「うーん、たぶんサラリーマンじゃないかな。離婚しちゃったからさ」


返ってきたのは適当に相槌を打てるような言葉ではなかった。


少し声のトーンが暗くなった莉那ちゃんの顔から、私は思わず目を逸らしてしまう。


「いやいや、彩音ちゃんが気にすることはないよ。そもそも私が始めた話だし。それに――」


『人生は出会いと別れの繰り返しですから!』


ちょっと名言ぽく言ってみせた莉那ちゃんの声は、私を気遣ったのかいつもの調子そのものだった。

ここまで読んで下さった方、更新を待っていて下さった方。


ありがとうございました!

皆様のお陰で頑張れます。


第15話。今回は真夜中の更新です。

テスト勉強の息抜きのつもりが、いつの間にか一話書いていたのです。

現実逃避って凄いですね笑


以降は、当初と違い後1話挟んで土曜日の予定です。


長くなりました。

また読んで頂けることを願って、頑張ります。


ではまた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ