#12 クラスメートの人生相談。(1)
皆様。お久しぶりです。もはや恒例となってしまいましたが。
更新遅れて申し訳ありませんでした次こそは頑張ります!!
はい。次の話はすぐに出せると思います。
ではではまた後書きで会いましょう@.@)/
昼休み。
普段は使うことのない校庭の隅にあるベンチに座り、私と志村くんは話をしていた。
戦利品のカツサンドを口いっぱいに頬張っている私の横で。
志村くんは自分の弁当を食べ終えると、どこか真剣な面持ちで、少し頬を赤らめてこう言った。
『じ、人生相談が、あるの……』
ハイ、それは嘘です。
普通に相談を持ち掛けられました。
独り言ですのでどうかお気になさらず。
では一旦、今日の朝の話に戻るとしましょうか。
〜午前8時前
学校までやって来た私は、何の気なしにちょっとグラウンドを覗いてみた。
…………だが。無人である。
今日は朝練しないんだろうか、野球部。
もっと頑張らないと。
朝ランニングをしてきた(と、言っても10分だけなのだが)私はちょっとばかしの優越感に浸りながら、教室へ向かった。
私の教室は3階にある。
この学校は1年生が3階、2年生が2階、3年生が1階。
と、学年の数字と反比例して教室の位置は下がる仕組みになっている。
言っておきますが、教室が上にあるからといって得することはないですよ?
寧ろデメリットしかありません。
毎朝3階まで登るのはしんどいし、1階にある売店までが遠いから、自前の弁当がない人は急がないとまともな昼食にありつけないこともしばしば。
唯一のメリットといえば、授業中に外の景色が遠くまで見渡せることくらいですかね。
田舎育ちの私からすれば、街の景色を見てるだけでちょっと感動するものなのです。
まあ、それはともかく。
『若いやつには苦労させろ』的方針のこの学校では、私達1年生の教室は3階にあるっていう訳で。
私は今日も変わらず階段を登って教室に入る。
黒板の横にある時計を見ると、その短針はまだ8の数字に到達したばかりだった。
窓側の一番後ろ、自分の席に座って教室全体を見渡す。
席はまだ半分も埋まっていない。
勉強している人、友達と話をしている人、イヤホンで耳を塞いで独り音楽を聞いている人。
色んな人が居るものです。
私はどうしましょうか。莉那ちゃんも志村くんもまだ来てないみたいだし、他にこれといって仲のいい友達はクラスにいない。
無理してまで欲しいとも思わないんだけど。
独りぼっちにさえならなければ、友達は気の合う人だけで別に少なくてもいいと、私は思うのです。
もし独りぼっちになっちゃったら?
それはその時考えますよ。
特にすることもないからそんなことを考えて窓の外を眺めていると。
ふと後ろから肩を叩かれた。
「おはよう。今日は珍しく早いんだね」
その無駄に爽やかな顔と声は志村くんだ。
それよりも、"珍しく早い"って。私は『なんかいつも遅刻寸前に登校して来るヤツ』みたいなキャラなのか?!
嫌だな……。
そんな悪印象はこの手で払拭せねば。
「うん、今日は"珍しく"店長が早起きだったからねー」
意訳すると。
『私がいつも遅いのは店長っていう人のせいなんですよ。私が寝坊している訳じゃないんです。決して』
「ふうん……?その店長さんが今日は早起きしたから鷲宮さんの登校時間も比例して早くなった、と」
ほら、志村くんもちゃんとハテナを出しながら頷いてる。
まあ、店長がいつも寝坊助だから私の登校時間が遅れるのは事実なんですけどね。
「あ、そうだ。鷲宮さんに相談したいことあんだけど。今、いいかな?」
何かを思い出したかのような顔で、目の前の志村くんは言った。
「相談?昨日何か言いかけてたやつ?」
「そうそう。それそれ」
昨日の昼休みに声を掛けられた気がする。
無責任な私に相談なんてしたところで解決するとは思えないのだが。
一体どんな相談内容なんだろうか。
「でさ、話なんだけど」
志村くんが私に何かを言いかけた時だった。
「そこの2人ちょっと待ったぁぁああーー!」
突然、莉那ちゃんが壮大な叫び声と共に颯爽と現れた。
「え、なになに?!2人で怪しい雰囲気出しちゃって!何の話してたの?ねぇねぇ!」
「いや別に大した話じゃ「慧は私の彩音ちゃんを奪うつもりなのー!?」
いきなり現れた上に人の話も聞かず好き勝手に発言する自由人莉那ちゃんさん。
頼むからただの気まぐれで私達を昼ドラみたいなドロドロ三角関係にするのはやめてくれ。
もし取り返しのつかないことになったらどうするんだ。
そして、そうこうしていると。
「はぁ……」
志村くんは溜め息を1つ吐いて莉那ちゃんを一瞥すると、クラスから出て行ってしまった。
「莉那ちゃんが訳わかんないこと言うから志村くん怒っちゃったじゃん!」
「えー?私のせい?」
どう考えても貴女のせいです。
こんな幼馴染を持って志村くんも大変だ。
「ねぇねぇ、それよりさ。さっき慧と何の話してたのさ彩音ちゃん!」
「だから莉那ちゃんが考えてるようなことは何もないって。ちょっと相談があるって言われただけだから」
そう、"相談"。
それ以上でもなかったらそれ以下でもないのです。
なのですが……。
「なっ?!相談ですと?ふむふむ。益々怪しいですねぇ〜」
その単語が彼女の妄想力をさらに高めてしまった模様で。
「何の相談を受けたのさ彩音ちゃん?ねぇねぇ、話してみなよ〜。私達親友でしょー?」
二次会で泥酔しちゃったおっさんよろしく、かなり面倒くさい状態に陥ってしまった莉那ちゃんは私の首に腕を絡ませ、ニヤニヤした表情でこっちの様子を伺っている。
うん。この子は将来、週刊春かフラデーの記者にでもなればいいんじゃないかな。
たぶん天皇陛下もびっくりな妄想スキャンダルを記事の上に繰り広げてくれることでしょう。
清浄潔白な私がそんな妄想スキャンダルハンターの餌食になるのも癪なので、そろそろ反論しておきますか。
「相談される直前に莉那ちゃんが来て志村くんを怒らせちゃったから、本当にまだ何も話してないの」
冷静な対応。
これで燃え盛る莉那ちゃんの心に消火活動。
……したはずだったのだが。
「うんうんなるほどなるほど。つまり、こういうことですよ彩音ちゃん!!」
目の前の妄想(略)ハンターは益々目を輝かせている。
一体何を閃いちゃったんでしょうか。
「へー、つまりどういうことなんですかー莉那ちゃんさん」
こちらの不機嫌さプラス面倒臭さを伝えるため、極力声を低くして棒読みで言う。
この相手の口調を真似する話し方は店長のが移ってしまったようだ。
「いいですか?彩音ちゃん。つまり……慧はアナタのことが好きなんですよ!!私が来た途端に話を止めた。これがどういうことだか分かるかな?」
「はぁ」
「『はぁ』じゃないよ彩音ちゃん!命短し恋せよ乙女だよー?!折角の恋愛のチャンス!これを逃したら一生独身確定ですよ!」
なんと失礼な。
目の前の妄(略)ハン(略)は益々勢いに乗って妄想を進める。
しかしこっちはそろそろ我慢の限界なので。
「良いこと彩音ちゃん。慧はアナタと2人き「はい妄想終わりー!!」
……。
強制終了。シャットダウン。
パソコンでそれをやったら最悪の場合起動不可能になるそうですが、ついでに目の前の人も起動不能になって欲しいものです。
〜キーンコーン……
丁度良いタイミングでチャイムが鳴った。
「ちぃ、覚えてろよ彩音ちゃんー!!」
「はいはい覚えてますよー」
いつもよりちょっと早く登校した朝は、いつもよりずっと騒がしい朝になった。
やっぱり、いつも通りが一番良いってことなんでしょうかね。
(これっきり、早く登校するのはやめよう!)
外を眺め、店長と過ごすいつもの朝に想いを馳せながら。
私は決意したのだった。
@続きますよー。
ここまで読んで頂いた方、ずっと更新を待って下さった方。もしいらっしゃればありがとうございました!
皆様のお陰で頑張れます。
作者の拙い文章にもめげず、次回も読んで頂けると幸いです。
で、今回の話ですが。
店長が出てきませんでしたね。
店長が出ないと話が動かしにくいと言いますか、意外と大変でした。
はい、それだけです。すいません。
ではまた皆様が読んで下さることを願って!
さようならです。・_・。)ノ