カレン・ワトソ *旅の道連れ*
扉を開けて入ってきたのは、背の高い少年だった。ジーンズと茶色いジャケットをかっこよく着こなしている。髪は茶色で肩につくくらい。もう少し短い方が好みだけど、十分かっこいい。青い瞳もまた魅力的。見惚れて、見つめあったままで硬直していると彼は困った風にはにかんだ。
「そこの席は空いてますか?」
「え?あ、あ、はい。」
私のバカ!もうちょっとマシな受け答えはできないのか!
「じゃあ失礼して。」
彼は私と同じようにトランクを放り込んでベットの上に座った。
「マリア・フレンキッシェって言います。あなたは?」
「わ、私はカレン・ワトソンです!………?あなた、もしかして女の子?」
ニヤッと目の前の少年と思っていた人がいたずらっぽく笑った。
「そうだよ。騙されてた?」
そう言うと、顎のしたにでを当ててキラーンと効果音がつきそうなポーズを彼女はとった。
「昔っからさよく男の子と間違われてたんだよね。あんまり小さい時のことは覚えてないけど、少なくとも小学生の時は男のことばっか遊んでたから余計間違われてたんだ。」
「全然わからなかったわーーです。」
「同い年なんだから敬語使わないでよ。」
「う、うん。でもほんとにわかんなかった。間違えちゃってごめんね。」
「ぜーんぜん。むしろ少し嬉しいよ。あ、それとこの電車女性専用車だから男の子は入ってこれませ~ん。安心してね。」
「そうだったの!?知らなかった。」
「んーまぁ、とりあえずよろしくな。これから先の旅楽しく行こう!」
「ええ、よろしくお願いします。」
少し寂しくて不安だった旅はマリアのおかげで明るく楽しいものになりそうだ。