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カレン・ワトソン *寝台特急カランコエ*

ハンブルグ国際空港につく頃にはもう日が沈んでいた。そこからハンブルグ空港駅のホームに移動する。空の旅て疲れた体に7日用のスーツケースを何個も運ぶのは、カートがあるといえど重労働だった。疲れた私を待っていたのは真っ赤な車体のレトロな電車だった。

~寝台特急カランコエ~

各車両に二つしかない扉の脇には茶色いプレートが鈍く光っていた。

中にはいると狭い廊下の両側に幾つか扉があってそのうちの一つに荷物を放り込むと備え付けてあるベットの上に座った。ベットの数は二つ。定員は二名みたいだけどもう一人はまだいてない。足で荷物をよけて、きついパンプスを脱いで放り投げる。このベット、うちのソファー並みに寝心地がいい。仰向けに寝ながらケータイをいじっていると、天井のスピーカーからアナウンスが流れてきた。

「このたびは寝台特急カランコエをご利用いただき、まことにありがとうございます。この電車は6:30ハンブルグ空港発私立カストレア学園高等部直通の特別列車です。発車までもうしばらくお待ちください。」

私がこれから通うカストレア学園は去年できたばかりの新設校で、世界中の大富豪や大企業の子供達が通う超お金持ちの全寮制学校だ。初等部や中等部はこれから設立されるらしい。世間の人からみればあり得ないほどのお金を使ってたてられた学校で、去年の体育祭や文化祭は地域丸ごと飲み込んじゃうような大きなものだったらしい。そして、カストレア学園の一番の目玉といえば、様々な行事や寮生活を"チーム"と言った単位で行って行くことだ。

"チーム"とは、いわば部活動みたいなもので大小様々なものが存在するらしい。さっきパンフレットが配られたけど、それの後ろについていた紙で各チームに参加希望を出すらしい。あんまりないみたいだけど、5人以上揃えば自分たちでチームを組むこともできるみたい。

ここで、ちょっと身の上話を聞いて欲しい。カストレア学園はお金持ち学校だってことは言ったけど、私はごくごく普通の家庭の女の子だ。では、なぜ私がここにいるのかというと、特待生試験に見事合格したからだ。この試験に合格すると、学校生活でかかる経費のすべてを学園側で負担してもらえる。最近ちょっと苦しくなってきたうちの家計を少しでも助けたかったのだ。母は近くの公立高校の学費くらいなら出せると言ってくれたけど、外の世界が少し見てみたかった私は反対を押し切り、いまこうして電車のベットの上で膝を抱えている。これからの生活に不安もあるけど、多分なんとかなるよね。

ぐるぐると取り止めのないことを考えていると発車のベルがなった。ゆっくりと電車が動き出すのとは反対に、勢いよく今部屋の扉が開いた。

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