表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

カレン・ワトソン *入学式*

実際にある都市名、建物の名前が出てきますが、舞台となる高校、人物名はすべてでたらめです。ワイワイにぎやかく書きたいと思います。よろしくお願いします。

年に一度の家族での海外旅行で利用しているこのロンドン・ヒースロー空港。自宅から両親に送られてターミナル1着いたときの私の感想は、子供のときと変わらず人が多いと思っただけだった。小さい頃はいろんな人が行きかうこの場所で、どんな人がいるのかと人間観察をするのが好きだった。搭乗手続きのために長蛇の列に並び事務作業が一通り終わったのは搭乗時間の10分前だった。

「やっぱりもう少し早く家を出るべきだったわね。」

母が肩をすくめながら腕時計をぱしぱしと叩いた。私が帰宅するのに遅れたりすると母がいつもよくやった癖。

「しかたないよ。近所のみんなが見送ってくれたのめげにはできないでしょ?」

その癖とも今日から少しの間お別れ。9月から私は国外の全寮制の高校に入学する。これから故郷イギリスからドイツのハンブルクに向かって飛び立つのだ。母があれこれ細かくやかましく注意事項を並べ立てているうちにロビーにアナウンスがかかった。

「休みにはちゃんと帰ってきなさいよ。」

「はいはい。わかってるって。」

「カレン。」

今までずっと黙っていた父がようやく口を開いた。

「自分のやりたいことをめいいっぱいやってきなさい。辛くなったらいつでも帰っておいで。」

突然の激励に、不覚にも泣きそうになりながら、私は思い切りよく笑った。

「大丈夫!二人とも心配しないで。これでもかって楽しんでくるから。」

お気に入りのかばんを振りまわし、搭乗口へと足を向けた。最後に振り返って右手をぶんぶんふると、両親も手を振ってこたえてくれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ