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Milky Way ~天の河伝説~

作者: 黒やま

これは一人の男の愛を貫く話。


彦星(ひこぼし)織姫(おりひめ)の間に産まれた一人息子、七夕(かずすえ)


7月7日は彼にとっても両親にとっても特別な日であった。


父の牛飼いの手伝いを毎日のように行う褒美として年に一度


天の川を隔てた東側に住む母のもとへ会いに行き家族3人で過ごせる日なのである。


だがその年は違っていた、彼は運命の出会いを果たしたのだ。


14歳の誕生日7月7日、七夕は綾女(あやめ)に出逢った。


織姫と同じく機織りをしている働き者の少女であった。


二人は出逢った瞬間に恋に落ちそのまま天の果てへと駆け落ちした。


そこは二人っきりの空間でそこには二人しかいなくて


毎日顔を合わせるのはお互いのみ。


いつしか時間も忘れ何もかも分からなくなっていく、


けれど二人は二人がいればそれは些末なことである。


それはまるで彦星と織姫が共に生活をしている頃を


そっくりそのまま再演しているようであった。


だが幸せな生活もいつしか幕を閉じられた。


天帝に居所を見つけられ二人の家に帝の軍が押し入って


綾女が再び城へ連れ戻されようとしていた。


七夕は必死で彼女を奪い返そうとするがそれも虚しく


その後綾女に逢うことは一度たりともなかった。


それから何年経ったのだろうか、七夕は生気がなくなり


まるで死人のようである彼のところに彦星が会いに来たのだ。


久しく会っていない父の口から発せられた事実は悲しくも彼を再び生者に


戻すきっかけとなった、綾女が死んだ、自らの命を絶った。


七夕は慟哭した。


彼の涙はそのまま地上へと降り注ぎ恵みの雨のなり花(ひら)く。


七夕はそれからは以前のように働くようになった、そして年に一度


この日だけは仕事を休みただ一人だけのことを想う。


7月7日、それは彦星と織姫が再会する日。

        七夕が生まれた日。

        綾女と出逢った日。


そして、愛する人が死んだ日。

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