8/12
そして、物語は動き出す。
「クソッ、あの白スーツ!」
ダメだ。
今月はナンバーを取れる気がしねえ。
無理だ。
ヤバい。
メンタルイカれる。
やっぱホストなんてやるもんじゃねえ。
ガチでやるもんじゃねえ。
クソが。
明日、メイドカフェに行って、りさちゃんに励まして貰おう、りさちゃんに励まし……
「空蘭、2番テーブル付いて」
「……おう」
クソ、竜樹の奴、俺に指図しやがって。
2番テーブル、2番テーブル……
目が、合った。
ちいかわのインナーに白いパーカー、シナモロールの手さげを持った彼女……。
「お待たせ〜!」
平静を装う。
「俺は空蘭っていうんよ。よろしく」
名刺を渡すと彼女の顔が綻ぶ。
「わあ! 私の大好きな人と同じ名前!」
身体中に電撃が走ったような感覚を覚える。
「君の、名前は?」
「りさ! メイドカフェでお給仕してるの」




