意外な真実
宇宙進出を果たしてから四千年。
人類は氷で覆われた辺境の星の原住民と会話をしていた。
「では。この太陽自体が魔王の魔力によるものだと?」
俄かに信じられない言葉を宇宙船のキャプテンは投げかける。
すると原住民は頷いた。
「さようでございます。世界はかつてあまりにも静かで冷たい美しいものでした。ですが、あの魔王が恐ろしき魔力で燃える星を作り上げてから多くが変わってしまったのです」
バカげた話だ。
キャプテンはそう笑って切り捨てたかった。
なにせ、彼の故郷では魔王など、もう創作物の中でしか聞かないような架空の存在だったから。
「よろしいですか。本来の世界はもっと心地よい冷たさに満ちていたのです」
「世界とは宇宙のことか?」
「星の外をあなたがそう呼ぶならそうなります」
世界……いや、宇宙には元々太陽が存在していなかった?
魔王が太陽を造り上げたせいで全てが変わってしまった?
キャプテンは頭を抱える。
実に馬鹿らしい。
知識のない者達が作り上げたおとぎ話だと掃いて捨ててしまいたかった。
だが、この氷で覆われた星の技術はキャプテンの母星のものよりも遥かに優れていた。
「我々のように辛うじて魔王に抵抗し、あるいは身を隠している者達もおります。ですが、我々にはそれが精いっぱい。何故なら、あの忌まわしき太陽の熱に我らは耐えることが出来ないからです」
原住民は涙を流しながら言った。
「お願いいたします。この星の資源も技術も知識もお渡しします。ですから、どうか魔王を討伐してください……!」
キャプテンは迷った末に頷き、この氷の星から知識と技術そして資源を受け取り乗ってきた宇宙船に戻った。
キャプテンは宇宙船のメンバーに原住民から聞いたことを包み隠さず伝えるとメンバー達は困惑したままに尋ね返した。
「では我々は魔王を倒さないといけないのですか?」
「倒すわけにはいかないだろう。太陽はもう我々に密接に関わっているものなのだから」
「……そうなりますよね」
「彼らには悪いが我々は二度とこの星にはくるまい。それがお互いのためだ」
小さくなっていく氷の星をメンバーは窓からじっと見つめていた。
魔王の支配は少なくとも数万年は続いていた。
曖昧な書き方となるのは人類がそれに気づいたのがつい最近だからだ。
いつから始まっていたかなんて知るすべもない。
ただ一つ、確かなのは。
最早、生きている者達にとって魔王の支配は必ず必要ということだけだ。




