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二話


 あの後、なんとかメイドが片付けにくるタイミングを見計らって、ドアの隙間から外に出て、母親に会いに行って見た。


 ちょうど良くアンジェラ?の部屋から出てきた、恐らく母親を見つけ、話しかけた。


「お、お母様。この後、少しだけお話しできませんでしょうか?」


「え? 何ワガママ言っているの。私はアンジェラの看病で忙しいのよ。お願いだから手を煩わせないで。誰か! この子を部屋に連れ戻して!」



 あっという間に自分の部屋に連れ戻されてしまった。母親は、私の名前すら言わなかったな……。というか、5歳の子供が少しだけでも母親と話したい事がワガママになるのか? 幾ら、妹が病弱だからって、姉をこんなに放置して良いのか? いや、良くないだろうが!


 一応、別の日に父親が帰ってきたタイミングで、こっそり玄関まで会いに行ったが、帰ってくるなり、こちらを一瞥もせず、いそいそとプレゼントらしき包みを持ってアンジェラの部屋に直行したのを見て、両親の愛情を得るのは完全に諦めた。



 ないわー、この家ないわー。両親も使用人も私の事を空気みたいに扱ってる。執事さんが気にかけてくれているから、ギリギリ衣食住は保たれてる感じ。


 あれ? 物語の通りなら、妹のアンジェラは、王太子に嫁入りするんだよね? という事は、私がこの最低な家継ぐの? 暴力とか暴言まではされてないけど、蔑ろにされまくってるこの家のために将来働かなきゃいけないの??


 ……はあ? 嫌ですけど?!!




 絶対にこの家を継ぎたく無い私。だって、このままだったら、どうせアンジェラが王妃になっても両親の愛情はアンジェラだけに向けられるだろう。幾ら家の仕事を頑張ろうが、まったく報われない生活。夫だって、どうなるか分からない。もしかしたら、アンジェラの尻拭いとかさせられるかもしれない。さも当然の事として。


 嫌な想像だけが膨らんでいく。


 これからどうしようか考え、まず家の中に味方を作ることにした。意識が身体に引っ張られているのか、どうなのかわからないが、放置されている現状が泣きたくなるほど寂しいからだ……。



* * *



 あれから数日。私は執事さん以外に家の中で味方を2人作ることに成功した!


 1人目は、料理長のダイン!

 部屋をこっそり抜けだして(ドアは椅子を踏み台にして開けた)、台所に行き、毎日美味しいご飯をありがとう! って話したら、徐々に仲良くなってくれた! 今では、記念日にこっそり特別なデザートなどを食事に添えてくれて、祝ってくれるまでになった!


 2人目は、私の専属メイドのララ!

 新人メイドで、少しおっちょこちょいな彼女を他のメイドが虐めているところを見つけて、咄嗟に庇った。蔑ろにされているとはいえ、一応この家の長女だ。なんとか助け出す事ができた。執事さんに頼んで、私専属にしてもらった。日々ちゃんとしたお世話をしてくれて、お話もいっぱいしてくれる!


 新しく仲良くなった2人と、昔から気にかけてくれる執事さんのおかげで、私の生活はだいぶ良くなった。


 あ、ちなみに執事さんに聞いたところ、アンジェラと私は2歳差だってさ。


 妹が産まれるまでは両親の私に対する態度は普通の父親と母親だったそうだ。あんな風なのは、病弱な妹の為に必死になってるだけで、一時的なものだろうと。だから、両親も妹も恨んではいけないと執事さんに言われた。


 いや、恨みはしてないよ? ただあの態度は流石にありえないなーって思ってるだけ。それで、この息苦しい家をとっとと出ていきたいだけだから。


 さて、この家から脱出するためには、次は何をしたら良いかな?


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