2014年5月29日 鏡に映る
こんな夢を見た。
私はとても古くいわくつきのマンションで住み込み管理人をしている。
マンションは古いと言っても寂れた感じではなく、装飾などがアンティークでとてもお洒落だ。
マンションの部屋は全室作りが違うらしく、いわくも全て違うらしい。しょせん雇われ管理人な私は、いわくの詳細を知らされていない。
ある日、とある住人に呼び出された。扉が開かなくなったそうだ。部屋へむかうと、住人が扉の前で待っていた。
試しに私が扉に手をかけると、扉はあっさり開いた。喜んだ住人には私を部屋の中へ招いてくれた。
部屋には大きな化粧台が置かれており、化粧台の鏡もまた大きい。
私は化粧台に近づき、鏡をのぞき込んだ。鏡には、自分と住人、そして部屋にはいない人の姿が。
なるほど、この部屋のいわくはこれか、とワクワクして住人を振り返ると、
「あ」
と、住人が驚いた顔をした。
住人の目は、私自身ではなく鏡に写っている私の後ろ姿を見ている。
しまった、と私は自分の背後を手で払ったが、もう遅い。
私は苦笑を浮かべ、
「秘密にして貰えます?」
そう、住人に言った。
そこで目が覚めた。
夢の中の私は鏡に何が写ったか分かっていたようだが、目が覚めた私には何が写っていたのかさっぱり分からない。