表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
佐藤ユウタはプレデターに転生したが異星人にモテても嬉しくねぇ  作者: にゅぷにゅぐ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/112

第72話「幻でない事」

誤字報告ありがとうございます

ゼロバッドの目の前で、金属の球体――撮影ドローンがふわふわと浮かんでいる。兎にも角にも、先ずは配信を止める必要があった。

一番手っ取り早いのはドローンの破壊だったが――


(――アカン!

 自分で恒星法違反が事実だって証明するようなもんや!)


破壊はNG。

だとすれば、ドローン本体をハッキングしての配信停止が次善になるものの――


(――これもアカン!

 ドローンの形状からして、恐らく相手はシャルカーズや! あん魚相手に電子戦とか、証券も冷え冷えになるで!)


どうやら、即座に配信を止められる手段は無いらしい。

このままでは違法行為の現場を押さえられた上、ドローンによる質疑応答(インタビュー)が始まってしまうだろう。


青目のドローンから、スピーカー越しに声が聞こえ始める……



――じゃあまず、シリアルナンバーを教えてくれるかな?――

 ――【0BAD】です――


――【0BAD】? もう働いているの? じゃ……――

 ――会長です――


――会長? あっ……ふ~ん。え、今なんか詐欺やってんの? すごいガッチリ違反してるけど――

 ――特にはやってないんすけど、恒星法は遵守してます――


――儲けとかある? 今――

 ――今は無いです――


――営業許可とかは取るの?――

 ――取った事ありますよ――

――どういう系統が好きなの?――

 ――そぉ~ですねぇ……やっぱりワイは、王道を征く『放射性廃棄物処理業許可』ですか――

――あぁ放射性処理(ほっしょー)? でも放射性処理(ほっしょー)高いでしょ(設備投資)――

 ――ピンキリですよね(不法投棄)――


――じゃあ、他種族にオアシス論法とかっていうのは?――

 ―― や り ま す ね ぇ ! (大声)――

――やるんだ?――

 ――やりますやります――


――ふーん。え、じゃあ例外条項7-β違反――

 ――ファ!? しもうた誘導尋問!!――



……なんて展開になっても困る。

何とかこの場を切り抜けなくてはならない。


(つまり……答えは①や!

 天才商人のワイには、ズバっと反撃のアイデアが閃いたで! それは……『足』や!)


『足』とは――

この絶体絶命の状況で、この天才商人は何をしようと言うのか?

ゼロバッドは謳い上げる様に、浮遊ドローンとヤウーシュに向けて『啖呵売り』を再開した。


「はい、ひとつ聞いてや!

 筐体ひとつ用意して、電源ケーブル2本差したらベイに3つのストレージ! ラッチでしっかり止めたらばメモリを4つ差すけれど、5個も冷却ファンは入らない! スロット6つ用意して、だけど手元にゃ拡張カードが7枚だ! 足りぬ足りぬは工夫が足りぬで最後に外部ポートが八 王 子。高周波信号のインピーダンス50よりも、あたしゃビニル絶縁電線が良い! あなたノイズ耐性、わたしゃ高速データ伝送、共にチャタリングを語るまでってやつ! どう、ね? ほら、これで買い手が無かったら、あたし、ヒラグモじゃないけど自爆するつもり! え、ダメか!? チキショウ! ったくねえ今日はしょうがねえ! 貧乏人の行列だあ! まあいいよ、いいっていいって帰んなさい帰んなさい。商売上がったりだ今日はお終いてんてこ舞い――」


ゼロバッドは床の上に広げていた布の四方を摘まみ上げると、乗っている商品を包み込むようにして縛った。そしてそれを『よっこらせ』と肩に担ぎ――


「――という事で閉店ガラガラほなサイナラ」


シャッターを下ろす様な動作をしてから、その場から逃げ出す。


ガショメズの格言にもこう有る。

株価が下落した時はあれこれ思案するよりも、売ってしまうのが一番良い……『三十六計、売り逃げに如かず』と。





≪――という事で閉店ガラガラほなサイナラ≫


それだけ言うと、商品を回収したガショメズが走り出した。


≪ゼ、ゼロバッド会長どちらへ!?≫

≪逃げるんや、って言うか今その名前出すなボケ!!≫

≪お、お待ちくださいゼロバッド会長ォぉ~~!≫

≪だから名前出すなボケェェェ……――――≫


薄暗いメンテナンス通路にそんな声を響かせながら、詐欺ガショメズと、その取り巻きだろう連中が去っていく。


「……」


サトゥーも別段、追跡はしない。

残心しながらガショメズの背中を見送り、通路の角を越えて十分に気配が遠ざかったのを確認してから、肩の力を抜くと息を吐いた。


「フゥーー…………」


どうやら血を見ずに済んだらしい。どちらの血かはさて置き。

近くに浮いていた浮遊ドローンがふわふわとサトゥーに近づいて来ると、スピーカーから声が聞こえた。


≪大丈夫でしたか?≫

「あぁ、大丈夫。一応確認するけど……サメちゃんだよね?」

≪はいっ! あ……あの、思わず乱入しちゃったんですけど、もしかして余計な事しちゃったでしょうか……?≫

「あぁ、それなんだけどね――」

≪はい……≫


深く息を吐いてから、サトゥーが続けた。


「――正直困ってたから助かったよ~~!」

≪良かったです~~!≫

「……そう言えば」

≪はい?≫


サトゥーは目の前に浮かんでいるドローンを見つめながら、ふと思った。

もしこのドローンが『配信中』であれば、配信先に今『自分の顔面』がドアップで映ってしまっているのではあるまいか?


恐る恐る聞いてみる。


「……このドローンって今、もしかして配信してる?」

≪あぁ、さっきのブラフですか?≫

脅し(ブラフ)?」

≪はい! 配信してるってのは嘘で、ただドローン飛ばしただけなんですけど、上手く騙せたみたいで良かったです!≫

「なるほど~! その機転に助けられたよ~!」

≪えへへへ……あ、えっと……今、そっち行きますね……?≫

「うん? うん」


暫くして通路の角、その向こうからテクテクと歩く気配がひとつ。

ドローンもそちらに飛ぶと、角から姿を現した青目のシャルカーズ――サメちゃんの手の平へと収まった。サトゥーもそちらを向いて、サメちゃんの姿を視界に収める。


そして――


「あぁサメちゃ……ヌゥ!?」


――思わず唸った。


サメちゃんの服装が変わっている。

先ほど別れるまでは宇宙港で働いている時の『ツナギ姿』だったが、今は『青いワンピース』姿になっていた。

単色ではなく、首回りの天色(あまいろ)――澄んだ空を思わせる鮮やかな青――から、裾へ向かうにつれ深い青であるネイビーブルーへと変化していく。そのグラデーションはまるで深い海へと潜っていくかの様であり、ならば袖や裾の白いフリルは波しぶきがモチーフだろうか。

サメちゃんの眼からトロトロと出ている電弧の青と、天井の乏しい光源を受けてそれでも輝いている銀髪に、その青と白のコントラストは何ともマッチしていた。


そんなサメちゃんを見て、新たに挑む『恋の名探偵』サトゥー。

今こそ放ってみるがいい、乙女を射抜く"正解"の一矢を!


『サメちゃん、どうして服が変わっているんだい?

 君はその青いワンピースではなく、保存食を買うべきだったよ!』






――と、言わないだけの。


常識(?)がサトゥーにも残っていました。

サトゥーは言いました。


「良いじゃん! カワイイね!」





『ああああああステーション』の、エリアとエリアを繋いでいる通路。

その風景をサトゥーが見たならば『地下鉄の通路みたい』と言うかも知れない。


そこをテクテクと歩いている各種族の通行人たち。

特に店もなく、立ち止まる用事もない。誰もが無関心に歩き、すれ違う中――


≪~♪≫


――何やら一人の少女が走って来た。

そのシャルカーズの少女――青いワンピースを着ている――は突然、通路の真ん中に鎮座していた細い鉄柱に右手を引っ掛けると、勢いそのままに遠心力でグルグル回り始める。

かと思えば突然ピタッ!っと停止して、何故か自分が走って来た方向へ向けて『ニコォ(◜◡◝)』と笑顔を作った。


「「「……!?」」」


突然の奇行に周囲が呆気に取られる中、やや遅れて次の(ちん)入者が現れる。


≪……!≫


ドドドドド、と走って来たのはヤウーシュ。

そのヤウーシュは、鉄柱に掴まってポーズを決めている少女の手前10m当たりで突然、膝を突くと慣性でニースライドを開始。硬質な床の上を外骨格の膝部分で『ズサー!』と滑りながら――


≪あ、イイヨイイヨイイヨイイヨー!! カワイイヤッター!≫


――と叫びながら、着用しているマスクの目の部分を『ピピピピピ!』と連続で発光させる。写真撮影機能だった。


やがてニースライドが速度を失い、少女の近くで停止する。

目を光らせ続ける怪しいヤウーシュは立ち上がり、角度と位置を変えながら撮影を続行。


≪あ、イイネイイネイイネー! ちょっと横に流し目してみようか! あ、イイヨイイヨイイヨー! よっ、同盟小町!!≫

≪~♪≫


撮影されている少女もポーズを変え、表情を変え、被写体として振る舞い続ける。


暫くすると少女が再び走り出した。

そしてやや離れた位置の壁に両手を突くと、後ろにクイっと腰を突き出し、シャルカーズ自慢の尾をフリフリと左右に動かし始める。

(ちなみにワンピースには尾を通す穴が空いている)


ドドドド、とそれを走って追いかけるヤウーシュ。

少女の手前で今度は『トゥ!』と言いながら跳躍し、天井の配管を掴むと昆虫めいて張り付く。そして上下逆さになりながら、上からの視点で目をビカビカさせ始めた。


≪ヤッターカワイイーー!!

 はい笑顔こっち頂戴! あ、イイヨイイヨイイヨー! いいね~今の感じでもう1回! そしたら視線なしの自然な感じで、そうそうイイヨー! 白いフリルがフリフリフリルの陽気(フリスキー)!≫

≪~♪≫


暫く撮影されると少女が再び走り出し、ポーズを決めてそれをヤウーシュが撮影して――


そんな事を繰り返しながら、その謎のコンビは通路を駆け抜けていった。


思わず足を止め、その様子を眺め、取り残されてしまった通行人たち。

ようやく我に返ると、徐に目をゴシゴシ擦り、たった今自分が見たものが幻でない事を確認して、思わず呟いてしまった。


「「「何やってんだアイツら……」」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
サメちゃんお見事! サトゥーは踏みとどまった(なにを? >>撮影 なんだこれは……たまげたなあ >>メインヒロイン エビの霊圧が…消えた…?
おかしいサメちゃんは可愛いし浜辺でキャッキャうふふな展開なのになんだこれしか思い浮かばないぞ。 ヒロイン争奪戦やるならエルフっ子の好感度イベントもっとやらないと不公平だぞー
(これが主人公で)ええんか? ヒロインは尽くしてくれる系ギャルなエビミィーちゃんに決まってるでしょぉぉぉ!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ