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第55話「安堵の気配」

すいませんコメ返し遅れてます

一晩明けて、翌日の朝。


「サメちゃん、おはよう!」

≪おはようございます≫


相変わらず光量の足りない『ああああああステーション』内部。

しかし他の種族にとっても活動時間を迎えたのか、通りには人気(ひとけ)が戻りつつある。

昨晩に食事をとった夜市とは別の区画で『朝市』が開かれており、二人はそこで朝食を摂る事にした。


「これ食べようか!」

≪はい≫


選んだメニューはシャルカーズ料理の『ファナリータ』。

穀物を粉末にし、水と油でこねたものを広げ、鉄板の上で焼く。

クレープの様な、ホットケーキの様なそれをサトゥーは1枚、サメちゃんは3枚注文。


「美味しそうだね!」

≪はい≫


フリースペースの開いている席に対面で座り、いざ実食。

上から掛けられている紫色のシロップは甘いながらも爽やかな酸味が有り、その上を滑る粘度の高い白クリームにはコクがあって、味に深みを与えてくれている。


「美味しいね!」

≪はい≫


ファナリータ君はシンプルに美味しかった。


「お、美味しいナァ」

≪……≫


でも雰囲気が美味しくなかった。

空気が重いね!

何でだろうね!


「……何か怒ってる?」

≪別に怒ってませんけど?!≫


怒ってない(怒ってる)。


(うーん……サメちゃんどうして怒ってるんだろう?)


悩むサトゥー。

だが閃くものがあった。


(ハッ……!? まさかサメちゃん……)


昨晩の深夜。

そもそもからして、どうしてホテルに戻って来たサトゥーをサメちゃんが待ち構えていたのか?

聞けば何やら、サトゥーの部屋まで『様子を見に来て』いたらしい。

ならば深夜、一体何のために部屋を訪ねてきたのか。


ラビュリントスの奥に乙女心あり。

『恋の名探偵』サトゥー、三度目の正直。

アリアドネの糸を手繰り、英雄テセウスとなるか。


(……ホテル変えたかったとか!? う~んカプセルホテルお気に召さなかったか~)


糸は切れた。


「……」

≪……≫


気まずい朝食。

それでもよく食べるサメちゃんと、既に自分の分を食べ終えたサトゥー。

コーヒーめいた苦いお茶を啜りながら、沈黙から逃れる様に視線をウェアラブルデバイスへ。

マップを呼び出し、バリア発生装置が手に入る工業区画への道順を確認していると――


「……あっ!!?」

≪わっ!? ど、どうしたんですか急に……≫

「さ、サメちゃん! これ行こう! ここ行こう!!」


突然興奮するサトゥー。

ウェアラブルデバイスの映像をサメちゃんにも見せながら、捲し立てた。


「この『ああああああ総合展示会』っての見に行こぉぉぉ!!」





ルンブルク商会は今、『ああああああステーション』で防衛・安全保障に関しての『ああああああ総合展示会』を開催している。

ガショメズは勿論、アルタコとシャルカーズ、さらにヤウーシュまで参加しているこの展示会は、実のところ『ローディエル使節団』を呼び込む為に企画されたものだった。


滅多に星系外へ出て来ないローディエルが、何やら初となる大規模視察を企画しているらしい。

その情報を嗅ぎつけたルンブルク商会が、ローディエルを将来のお客様とする為の企みは、今のところ上手くいっている。

色々見たいローディエル側と、色々見せたいガショメズ側との都合が噛み合い、見事ローディエル使節団は『ああああああステーション』にやって来たし、そして今日は『ああああああ総合展示会』を見て回る予定になっていた。



『ああああああステーション』内部にある多目的大型ホール。

広大な空間を持つこの場所が『ああああああ総合展示会』の会場となっており、武器や兵器など展示科目によってエリアが区切られている。

天井の照明器具からは十分な量の光が降り注いでいる為、薄暗い居住区とは異なりホールの中は明るくなっていた。

事前にルンブルク商会が大々的に宣伝していた事もあり、会場は多くの来場者で賑わっている。


そんな雑踏の中の一角に、何やら緊迫した空気の漂っている場所があった。

警備のアルタコが囲んでいる内側で、何故かローディエルの集団とガショメズの集団が睨み合っている。

まるで殴り合いでも始まろうかという雰囲気の中、ローディエル側の先頭に居るのはガスマスクの少女で、それはニューフェだった。


同じくガショメズ側も代表者らしい一人が歩み出てきており、数歩の距離でニューフェと正面から向かい合っている。

すわ種族間抗争の勃発か。

それともニューフェが何かやらかしてしまったのだろうか?


刹那、ガショメズの代表者が動く。

腰を落として半身に構えると、左手を左膝の上へ。

そして右肘を右膝に乗せ、手の平を上にした右手をニューフェに向けてから、言葉を発した。


≪御社ァ! 伝票の仁義ィ! 失礼ですがお控えくだすってェ!≫


言われたニューフェも同様のポーズを取り、同じく右手をガショメズに向けながら答えた。


「あ、ありがとうございます……。

 伝票の、えー、仁義を、失礼さんにござんすが……私、あ、違う、てまえ、控えさせていただきます……」


何たる事か……。

これはガショメズの伝統文化『伝票の仁義』ではないか!


説明しよう……『伝票の仁義』とは!

交易種族であるガショメズとは誰も彼もが『商人』であり、ならば『商人』と『商人』が出会えば勿論、始まるのは『取引』!

そんな取引の最初に行われる、神聖不可侵なるアイサツ……それが『伝票の仁義』である! その神聖さを例えるならば、ジャパニーズ・サラリマンの『名刺交換』が相当するだろう。

もしこのアイサツを軽んじる輩が居れば、ジャパニーズ・サラリマンがそうするように、容赦なきクビキリとムラハチが待っている事は言うまでも無い。


そして今、ローディエルとガショメズは文化交流の一環として、この『伝票の仁義』を交わしている最中だった。

代表として選ばれたのがニューフェであり(選んだのはナルテクス)、これからガショメズ側の『総合展示会の責任者』を相手取って『伝票の仁義』を遂行しなくてはならない。

さぁ……果たしてニューちゃんは、ちゃんと『伝票の仁義』出来るかな……?


ガショメズ側が続ける。


≪早速ながら御社ァ!

 伝票三枚借り受けましてェ! 筐体ィ! 仁義を発しますゥ!≫

「ありがとうございます……てまえ、控えさせていただき――」


ニューフェがそう返した刹那。

ガショメズ側に、『『『えっ!?』』』と動揺が走った。

その反応を見て――


(わっ!? 手順飛ばしちゃった!!)


――ニューフェは己の失敗(ポカ)に気が付いた。

慌てて視線を走らせると、視界の端でナルテクスが――


(一回断って! 一回断るんだよ!)


――と、小声で説明してくれていた。


これでは、いけませんね?

相手の挨拶は一回止めるのがマナーです!

手順を思い出したニューフェが慌てて切り出す。


「し、失礼しました!

 て、てまえ! シュンネペイア教の若いもんでございます! どうぞ、お控えなすってください!」

≪手前ェ! 駆け出しの者でござんすェ! 是非とも御社からァ! お控えくだすってェ!≫


そして一回止めると、相手がさらに食い下がります。

そうしたらお礼を言って挨拶をしてもらいましょう!


「あ、ありがとうございます……。

 再三のお言葉、えー逆位とは心得ますが、てまえ、これにて控えさせていただきます……」


良い感じですね!

これで相手の挨拶が始まります。聞き漏らさないようにしましょう!


≪早速お控え下すってェ! ありがとうございますェ!

 手前ェ! 粗忽(そこつ)ものゆえ仁義前後ォ! 間違えましたる節はァ! まっぴらご容赦願いますェ!

 向かいましたる御社さんにはァ! 初のお目見えと心得ますェ!

 手前ェ! 製造はアネリダァ! オリゴケタはハプロタキシダの【4A07】ァ! 神経137番でござんすェ!

 筐体ィ! 縁持ちまして所属と発しますはァ! ルンブルク商会に従います若いもんでござんすゥ! 以後ォ! 万事万端よろしくお願いなんしてェ! ざっくばらんにお頼み申しますェ!≫


これで挨拶してくれたガショメズさんの事がよく分かりましたね!


どうやらルンブルク商会に所属している、惑星アネリダにあるオリゴケタ工場で製造された、型番ハプロタキシダ型のシリアルナンバー【4A07】の筐体で活動している、神経個体番号137番が統御しているガショメズさんのようです!


「あ、ありがとうございます……。

 ご丁寧なるお言葉、申し遅れまして失礼さんにござんす……」


さぁ、今度はニューフェが挨拶する番です!

ちゃんと言えるかな……?


「て、てまえ、シュンネペイア教はオルトドクス宗派、教主アサフェティダ(※ナルテクスの洗礼名)に従います若い者……。

 神父オルキナスより洗礼を受けましたる第六枢機卿アルルシャハナ……名をニューフェ・ネクテルナ・ノー・ヴィリディア・カッ・アルルシャハナ・ヴィ・オルキナス・オルトドクス・シュンネペイア! 以後、万事万端よろしくお頼み申します……」


どうやら上手く言えた様です!

さぁ、『伝票の仁義』も終わりのフェイズに入ります。気を抜かずに頑張りましょう!


≪ありがとうございましたァ! どうかァ! お手を上げなすってェ!≫


おぉっと、注意が必要です。

姿勢を楽にするよう言われましたが、ここで自分だけ楽にするとクビキリ・ムラハチです。

一回、相手に譲りましょう!


「そ、そちらさんからお手を上げなすって」

≪それでは困りますェ!≫

「で、では、ご一緒にお手を上げなすって」


こうして相手を誘ってから、最後は声を揃えて――


「ありがとうございました」

≪ありがとうございました≫


――これで姿勢を戻す事が出来ます。

『伝票の仁義』……これにて無事、完了しました!


見守っていたローディエル、ガショメズ両陣営から『ふぅ……』と安堵の気配が伝わって来る。

大役を終えたニューフェは天井を見上げた。

ガスマスクのレンズ越しに見る天井の照明は、母星で見る太陽とは異なり真っ白に輝いている。

初めて見る白い光を見つめながら、ニューフェは思った。


(面゛倒゛く゛さ゛い゛こ゛れ゛!゛!゛)

【スペシャル企画】

年末だ! クリスマスだ!

クイズに答えて豪華景品をゲットしよう!

◆◆沢山のご応募ありあとうございました!!◆◆


↓↓クイズの正解は~??↓↓

Q: 「第三幕『星屑の旅路』、終わりなき階段」の効果は?

A: 【 時 間 を 止 め る 】効果でした!


( º言º)「分かる訳ねぇだろマヌケぇ……!」


【か、解説ですぅ……】

登場した霊術の効果は『ジョジョの奇妙な冒険』の各部に登場するスタンド能力から:

「第三幕(→Part3)『星屑の旅路(→3部副題)』、灼熱(→マジシャンズレッド)の前腕(→前腕以外ガオンされた」

「第五幕(→Part5) 『黄金(→3部副題)の角(→主人公の髪型がコロネ=角)』、黒い安息日(→ブラックサバス。サバスは安息日の事)」 

「第四幕(→Part4)『隠された(→4部主人公は2部主人公の隠し子)栄螺(→サザエ。主人公の髪型)』、手を洗え(→健康になるイタリア料理店。厨房に勝手に入ると怒られる)」 


以上を踏まえると

「第三幕『星屑の旅路』、終わりなき階段」の効果は『ジョジョの奇妙な冒険』第三部に登場するスタンドのうち、『階段が終わらない』エピソードがある能力を示しており

第三部ボスが味方キャラクター『ポルナレフ』に対して行った『階段を登ったと思ったら降りている』『あ、ありのまま今起こった事を話すぜ!』部分だと特定出来る為

よって答えは『ディオ』のスタンドである『ザ・ワールド』の能力より、『時を止める』効果でした!



◆◆正解者の発表!!◆◆

正解は2名でした!


まず一人目!

 【N】様、おめでとうございます!

回答は「時間の停止だ!催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ…」で、正解です!

え~、欲しいプレゼントは……【D:サメちゃんのぬいぐるみ】……? う~ん、きっと書き間違いですね! 景品Aを発送しておきます!


え~、二人目は

【サリュー】様、おめでとうございます!

回答は「時間停止および止まった時の中を動く」で、正解です!

え~、欲しいプレゼントは……【いらねぇぇえええええええ】……? これも書き間違いかな……? 皆うっかりさんですね!! 景品Aを送りつけてやるッッ!!


それでは皆様~!! Merry Christmas☆☆☆

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― 新着の感想 ―
感想一覧を見た時、凄い苦労して文字で鬼の形相の絵をかいていたのは、面白い発想ですね(o^―^o) 私もクリスマスの日に彼氏または彼女いないのって聞かれたら、にゅぷにゅぐさんのを参考に送信してみようと思…
社交辞令もまともにできない無能はムラハチ重点、実際商人揃いのガジョメズでは重点判断基準な なお日本より酷いムラ社会的アトモスフィアには目を瞑るものとする
>(……ホテル変えたかったとか!? う~んカプセルホテルお気に召さなかったか~) このお馬鹿ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…
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