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第1話「転生って言ったら」

「はぁー、やっぱり面白いわ」


佐藤ユウタは見終えたテレビの電源を消す。

放送していたのは往年の名作SFアクション映画『プレデチャー』。

密林に潜入した特殊部隊が、突如として襲来した宇宙人と激しい戦いを繰り広げる1987年公開の映画だった。


当時、敵として映画に登場する宇宙人と言えば、知性もなく暴れるだけのモンスターばかり。

『未来的ガジェット群を駆使する知性ある戦士』という新しい宇宙人像は、観客に大きな衝撃をもたらし大ヒットする事となった。

そして何より見所は主演男優の筋肉モリモリマッチョマンのスーパーアクションであり――


――閑話休題。


「もうこんな時間か……腹減ったな」


都内某所のひとり暮らし、30歳独身の夜。

半ブラック企業で立派な社畜戦士として疲弊している佐藤ユウタの週末は、健康的生活とは無縁。


「……コンビニ行ってくるか」


出掛ける準備を済ませ、佐藤ユウタはアパートを後にする。

向かったのは徒歩3分のコンビニエンスストア。


添加物タップリの焼肉弁当と、砂糖どばどばアイスクリームと、背徳のストロングなゼロと欲望3点セットを購入して帰路に就いた。

鼻歌を歌いながら渡る交差点。


「ん……? あのトラック減速しなぁ――」


――迫り来る居眠り暴走トラックによって、佐藤ユウタの人生は呆気なく終わりを告げた。





広大な宇宙。


何処かの銀河にある、とある惑星。

そこは赤茶けた大気で二つの恒星が輝き、地表は流れ出たマグマによって覆われている地獄の様な環境。

しかしそこで活動している複数の生命体が居た。


二本の足に二本の腕。

それぞれの身長は平均して約250センチで、シルエットは人間のそれと同じ。

その体表は甲殻類を思わせる外骨格に覆われており、頭部からは多数の棘状の器官――ドレッドヘアーを連想させる――が生えていた。

顔には金属質な民族的デザインのマスクを装着しており、個体毎に少しづつ異なる趣向が施されている。


彼らの種族名は『ヤウーシュ』。


宇宙を星から星へと渡り歩き、強敵と戦い、狩る事を至上の名誉とする戦闘民族。

彼らは今、仕事でこの星に滞在していた。

目的は危険な宇宙生物を駆除する事。

惑星に巣食っている有害な『宇宙トカゲ』を、各々が手にしている武器で次々と仕留めていく。


しかしその中に一人、仕事をしていない個体が居た。

周囲のヤウーシュに比べ、やや貧弱な体格――それでも2mはある――をしたその個体は俯き、ブツブツと何かを呟いている。


「オカシイダロ……」


その個体は嘆く。


「オカシイダロォォーー!」


その個体の名前は『サトゥー』。


「フツウ転生ッテ言ッタラ!

 剣ト魔法ノ中世ヨーロッパ風世界ガ基本ダルルォ!?」


ヤウーシュに生まれた、小さくて非力な戦士。


「チート無インダケドォ!?

 ハーレムノ影モ形モ無インダケドォ!??

 ステータスオープンシナインダケドォォォ!!?」

「サトゥーコラァ! 手ェ動カセコラァァァ!!」


岩の陰から顔を出したのは現場監督のヤウーシュ。

大柄で恐ろしい上司。


「ヒィ! スイマセェーン!」

「キリキリ働ケヤァーー!!」

「スイマセェェーーーーン!」


事故死した日本人、佐藤ユウタ。

彼は宇宙の彼方で宇宙人に転生していた。


演出の為に宇宙人が片言ですが、次から通常に戻します

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― 新着の感想 ―
[良い点] 喜べよ。生物としては上澄みの転生だぞ?俺はごめんだがなw
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