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佐藤ユウタはプレデターに転生したが異星人にモテても嬉しくねぇ  作者: にゅぷにゅぐ


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第79話「戦いに向け」

カクヨムコン用に短編書いてて遅くなりましたセンセンシャル

閃光、そして爆発。

中央指令室の中央モニターが白く明滅する。


「わっ」

「ひぃ!」

「何やーー!?」


突然の事態に、困惑する指令室の面々。

やや遅れてズゥーーン、という地鳴りを思わせる振動が中央指令室に届いた。


やがて中央モニターの映像が鮮明さを取り戻す。

映し出されたのは惨状だった。焼け焦げた駐機場の床には、先程まで臨検隊『だった』ものが飛び散っている。


≪ひげーー!≫

≪お、俺の腕がーー!≫

≪脚ィ! 俺の脚がどっか行っちまったぁぁーー!!≫


艦載級の威力で放たれたビームは、一撃で臨検隊を壊滅に追い込んでいた。一面に飛び散った破片や、そして部位。


しかしよく見れば、『右腕』は何やら手首や肘を器用に使い、独りでに這って移動している。その横では『脚』が、カクカクとぎこちない動きながら自律歩行していた。そんな各部位に向けて――


≪おい右腕戻ってこい! 独立は禁止ィ!≫

≪待て脚ボケェ!! 勝手に逃げんじゃねェ俺も連れてけ!!≫


――必死で叫ぶ、部位を失った側のガショメズ達。

統合グリッド知性であるガショメズは、例えば右腕が切り落とされても、右腕も一定の思考力を有した『ガショメズ』なので、『右腕のガショメズ』として活動を継続出来る。つまり元気いっぱい(?)。


その様子を中央モニターで眺めながら、ゼロバッドが叫ぶ。


「あん船、何でいきなり撃ってきたんや!?」

「う、運航情報システムを照合中! フライトプランによれば……『ジュズイ興行』!? 攻撃してきた船はジュズイ興行の船です!!」

「ハァァァァァ!!? 何であいつらがウチ撃つんや!!? 何でや!!?」


混乱するゼロバッド。

ルンブルク商会側は、ジュズイ興行が何を考え、どうしてこの判断に至ったのかを把握していない。

ただ昨晩、とんでもない大迷惑(ニューフェ行方不明)を掛けられ、何故か連絡が取れないので事務所へ抗議に行ったら、夜逃げでもしたかの様に誰も居なかった。――という不可解な状況のまま現在に至っている。


「て、敵ジュズイ興行の宇宙船、ハッチ開きました!! 戦闘員が降下中!!」


理由は分からない。

理由は分からないが、どうやら向こうはやる気らしい。


「上等じゃボケがぁぁ!!

 警備部署に連絡して保安要員を全部宇宙港に回せェ!! 陸戦隊も招集!! ()()の違いを教えたらァ!!」

「りょ、了解ィィ!!」


ゼロバッドは戦闘を決意。

直ちに中央指令室から関係各所へと指示が飛んだ。


そして通信量の増大に伴い、通信用ケーブルの負荷もまた増大する。

その結果、とある場所で問題が起きた。スタンフォード・トーラス型の『ああああああステーション』外縁部。居住区の番地にして『2B9S地区』。ここに埋設されている通信ケーブルが突然、火を噴いたのである。


原因は明確だった。

ここのケーブルに昨晩、傷をつけた存在(バカ)が居たから。


――そう、例えば。

近くのビルの屋上から飛び降りて、その重量で床をブチ抜き、その下に走っていた通信ケーブルを踏み潰して『ピガピ――』と叫んでいそうな。一体どこの(ヤウーシュ)だろうなぁ……。(第48話参照)


程なくして火が周囲の可燃物に引火。

通信ケーブルや電気回路が順調に破壊されていく。その結果――


「――ファ!!?」


バツンと音を立て、中央指令室内の照明が落ちた。

すぐさま非常電源が作動して光源は復帰するも、非常灯に切り替わった事で指令室の中は赤一色になっている。


真っ赤な視界の中で、ゼロバッドが叫ぶ。


「今度は何や!!?」

「つ、通信システムがダウンしました!! 通信回路が一部オフラインに……警備部署との通信途絶!!」

「次から次へ何で問題が起きるんや!! まるで仕組まれてるみたいやないけ!! まるで……仕組まれてる……みたいに……」


刹那、とある危惧がゼロバッドの脳裏に浮かぶ。


――これが偶然では無かったとしたら?

――全ては仕組まれていた、としたら?


ゼロバッドは考える。


(そうや……!

 この非常事態に、こんな運悪く通信障害まで発生するか?)


疑念は確信へと変わっていく。


(そんな訳あらへん……!

 これは通信網に対する『破壊工作』と考える方が自然や!!)


もし、そうだとするならば。

では、一体()がやったと言うのか?


「……成程。そういう事かい」


ゼロバッドの脳内で、バラバラだった事実(ピース)が繋がっていく。

そして導き出された真実(コタエ)とは?


「ふー」


ゼロバッドは静かに溜息をひとつ。

程なくして電気系統が復活したのか、中央指令室の天井灯に明かりが灯る。


「「「……」」」


周囲の視線が集まる中、ゼロバッドは徐に"会長専用席"を立つと近くにある給水コーナーへと向かう。

飲み物や軽食が用意されているそこで、ゼロバッドは手ずからお茶を淹れた。ガショメズの『お茶』は、栄養(バクテリア)を殺さない為に常温で点てるのが一般的。湯気の立たないカップ――中身は茶色い液体、要は泥水――に、ゼロバッドは顎から伸ばした専用のストローを浸して啜った。


ブスチチ……。

ブツチツブチチチチブリュリュリュリュ!

静かな中央指令室に下水めいた音を響かせてから、ゼロバッドはお茶の感想をこぼす。


「お……この茶美味いやんけ。どこのや?」

「はっ、本日は惑星『カビ・クセ』から取り寄せた腐葉土ティー『カビクセ・プレミアム・ヒューマスティー』をご用意しております!」

「これ良い(エェ)わ……。化学受容器官()の上に広がる湿った森の記憶……落ち葉の甘酸っぱさに菌類の囁き声……微生物達の合唱が聞こえる様や。流石は『カビ・クセ』やな。……サンマルか?」

「はい! こちら最も人気な『サンマル』をご用意して……って違います、お茶を飲んでいる場合ではありません会長!! 一体何が起きて……それに先程の『そういう事』とは一体!?」


周囲が混乱する中、『上』には時として余裕を装う冷静さが求められる。

お茶をブツチチしながら、ゼロバッドは敢えて落ち着いた様子で答えた。


「ブリュリュ!!

 ……この一件、裏で糸を引いてるのは"十人委員会"や」

「「「なっ!!??」」」


絶句する中央指令室の面々。

秘書官がゼロバッドに問い返した。


「お、お待ちください!

 その様な情報をどこで……我らの元には、それらしい報告は何も!!」

「全ては仕組まれていたんや。考えてもみぃ。ジュズイ興行が裏切るこのタイミングで、都合よく通信障害が発生するか?」

「そ、それが十人委員会の仕業だと……?」

「いや、やったのはジュズイ興行やろうな。昨晩から連絡が取れないのは、既に破壊工作に動いていたから……。ローディエルの警備に穴を開けたのも、事務所に居なかったのも、そう考えれば納得や」

「そ、それと十人委員会とどう関係が……?」


ブチチとお茶を啜りながらゼロバッドは続ける。


「ちょっとは考えんかい。無いやろブリュリュ、勝算が」

「た、確かに! ジュズイ興行だけではルンブルク商会に勝てません」

「でも奴らは仕掛けてきた……つまり勝算があるって事や」

「ま、まさか……!!」

「奴らはただの()や。本命は、宇宙港に注意を引かれたウチらを背中から刺そうとしている、十人委員会の誰かって訳や。今回のローディエルとの商談……それをウチから引き剝がすに飽き足らず、さらに儲けようと試みるクソ外道どもが居るって訳やッ!!!」


問題は、相手の数だろう。

『十人委員会』が全員、敵に回った訳ではない筈。

同じ目的の元、()()()奴らが九人も集まれる可能性はゼロ――間違いなく仲間割れが発生――だと断言できる。だが逆に言えば、三~四人までならば『ブンブルク商会を陥れる会』として結束してくる危険があった。だとすれば――


「――まだ()機は有るで!!」


飲み終わったお茶のカップが、ゼロバッドの手の中で軋み始める。

程なくして、陶器製のそれは握り潰されて砕け散った。


「商人は『舐め』られたら終わりや……!!

 最初に手ェ出してきた企業(ヤツ)を、潰す! 刺し違えてでもブッ潰したるッッ!!」

「「「おぉ……!」」」


決して退かぬ、という決意。

その気概こそが、この企みを計画した卑劣な襲撃者達を一歩、後退させるだろう。たかが一歩。されど一歩。しかしその一歩が、ルンブルク商会にとっての活路足りうる。


「儲ける為の作戦で、損はしたくない筈や……誰だってそうや。

 ウチだってそうや。でも……ダメや、キッチリ損させるで!! 刺し違えてでも、最初の一社は潰す!! その気迫こそが、奴らに最初の一手を躊躇わせるんや……! そんでその初動させ挫けば――」

「「「おぉ……!!」」」

「――テロを計画した危険な商人共を、銀河の平和の為に駆逐する……このストーリーは行けるわ!! 何ならアルタコの支援だって期待出来るで! そこまで行けば、十人委員会の中立派や日和見陣営だってこっち付く筈や!! 形成逆転の一転攻勢や!! もろたでこの戦い!!」

「「「おぉぉぉぉ!!!」」」


ゼロバッドの気炎に当てられ、高揚していく中央指令室の戦意。


周囲を賛同者(イエスマン)で固めた独裁者とは、往々にして判断の誤りや内包的な問題が是正される機会を得られず、組織を破滅へと導いてしまう事がある。その反面、一度『目標』さえ設定出来れば、民主的な組織にはない『爆発力』で突き進めるパワーを持っていた。


足元に散らばるカップの破片をガシャリ、ガシャリと踏みつけた後、ゼロバッドは右腕を高らかに掲げると宣言する。


「総員、戦闘配置!!

 全兵装コンシール解除!! 『格納庫』は隠しとるV-TECH全機出せェ! 連絡付かない部署は伝令回せやぁぁー!」


ルンブルク商会、徹底抗戦を決意す。

各座席に座っているガショメズオペレーター達が、ゼロバッドの命令を復唱しつつ実行し始めた。


「第一から第百八バルクヘッドのステルスパネル、全面パージ完了! 全対空砲、戦闘モードへ移行!」

「空間魚雷、全発射管への装填開始! 防御用時空キャビテーションシステム稼働開始!」

「秘匿ハンガーよりV-TECH隊、発進を開始! 射出カタパルトは一番から六番フル稼働! 三十秒間隔で射出します!」





戦いに向け、何やらいよいよ慌しくなり始めた『ああああああステーション』の内部。

しかし一方その頃、宇宙港の駐機場では――

【カビクセ・プレミアム・ヒューマスティー】

辺境の小惑星『カビ・クセ』で採取される高級腐葉土ティー。

『カビ・クセ』地表の原生林には推定樹齢が数千年を超える巨木が乱立しており、積み重なった落ち葉が数百年分もの腐葉土層を形成。そこで生きる惑星固有の分解菌により発酵が促され、他にない独特の風味が生み出されている。採取する層によって味と値段が変わり、最も人気なのは地表から三十センチ部分から採る通称『サンマル』。

ガショメズと商談する時の手土産にピッタリである。

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― 新着の感想 ―
人間コーヒーサーバーからとれた腸内細菌叢コーヒーとか売ってそう
バラバラになっても元気ならCEROなんか怖かねぇな! ゆっくち!ゆっくち! それにしてもすごい(ひとり)スモトリだ… あと汚すぎる咀嚼音−114514810点
四肢切断されたら勝手に逃げてくの草過ぎるだろ。 >この一件、裏で糸を引いてるのは"十人委員会"や 良かったぁ。これでサトゥーとか言われたらどうしようかと(ピガビー!しとるから完全に何もやってないわけ…
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