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見えなかった想い【異世界】【友情】【すれ違い】
後ろ姿
君の
なびく髪
その背中で
君は
ぼくに
何を
伝えたかったのだろう
あの後
ひとりになったぼくは
青い空を独り占めに
抱きしめながら
君が言えなかった言葉の意味を
ずっと考え続けていた
「お前いつも先回りすんだからよ
こんな時くらい察しろよ!
俺が何を言いたくて
何を言えずにいるのかくらい!」
「え……と。その……」
ぼくは何を言えば良かったのだろう
浮かばなかったんだ
本当に何も
苛立ちを隠そうともせず
けれど
何か他の感情を
苛立ちで覆い隠そうとしていた
そんな様子で
君は
ぼくに背を向けた
どうすれば良かったんだろう
あの時
何か言えていたら
現在は変わっていたのだろうか
いま君は
敵軍の参謀として
ぼくの目の前にいる




