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カバンの中には
あの日
新品のカバンの中に詰め込んだのは
いくつもの真っ直ぐな教科書
ぴかぴかでずっしり重いお弁当箱
それと
わくわく
どきどき
そんなものたちが入ってた
授業についていけるかな
とか
友達すぐにできるかな
とか
心配事もたくさんあったけど
どんな部活に入ろうか
とか
アルバイトは?
とか
期待感にもたっぷり浸かってたんだ
その胸の高鳴りが最高潮に達したのは
まっさらな制服に身を包んだ時
いよいよだねって
背筋が伸びた
これからの三年間
すべての経験を共にする
強いて言えば戦闘服みたいなものだから
一緒に頑張ろう
鏡の前で
上着の裾を引っ張って
一度うなずいた
懐かしいあの日が
今年もめぐってくる
カバンも
弁当箱も
服も
使い古しではあるけれど
環境だけは変わっていく
四月からは新しい職場だ
わくわくと
どきどきを
少しだけ傷んだカバンに詰めて
真っ直ぐに歩いていこうと思うよ




