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冬は戻っても
仕事が終わった帰り道
日はとうに沈みきって
街灯の少なめな道が
降り始めた雨に濡れて光る
傘をさしたら
風に吹かれて
傘がひとりでに閉じてしまうよ
すれ違う人が大きな声でぼやく
「なんでこんな寒いねん!」
知らんがな
心の中でだけそう返して
そうだね確かに寒いねと
閉じた傘を握り直す
夜道にも枯葉色の
小さな葉がいくつも
歩道の上を吹かれて飛んで行った
まだ若葉のサイズなのに
あなたは散ってしまったのか
それは春めいた後で
無情にも戻ってきた冬の寒波のせいですか?
あきらめないで
あきらめないで
この寒さを
あなたは
きっと乗り越えられる
そうしてその先で
きっと花咲く春を迎えられる
生きていくことをあきらめないで
かんたんに散ってしまわないで
きっときっと
春はそう遠くないところまで
あなたを迎えにきてるから




