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街の片隅で【現代】【非日常】【ストリートミュージシャン】
きっとちょっとだけ
さみしそうにしてたから
声をかける代わりに
百円を置いた
街の片隅で
ひっそり座り込んで
似顔絵をたくさん並べて
ギターを弾いている
おいおいどっちかにしろよ
そう思った俺は
そいつのしみったれた演奏に
聞き入るふりをして
ぼんやりと絵を見てた
絵によって全然タッチが違う
こいつが俺を描いたら
どんな風になるだろうと
少しばかり興味が湧いたが
何となく
ただ何となく
描かせたくなくて
言い出せなかった
飾るところもないしな
曲が終わった
俺は特に話しかけるでもなく
ただ何回か拍手してから
その場を去った
しみったれたサビの部分が
離れた後もしばらくの間
俺の耳から離れなかった




