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空の瞳
目を描いた象形文字のような雲が
まだ夜が明けたばかりの空に
ぽかりと浮かんでいた
空に開いた目は
何を映しているのだろうか
地上であくせくしてる自分のことなんて
きっと面白がっているのだろう
いや
それとも
気にも留めてないかな
せめて
その瞳に映してよ
墨色のその雲は
瞳と呼ぶには
虚ろな色をしているけれど
もっと近付いて
この目で見れば
ほら
透けるもやの向こうに
きらめくものは
生まれたばかりの太陽
お日さま お日さま
あなたに映してよ
地上から手を振る
ちっぽけな自分を




