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朝の杜
朝の陽の光が
淡く夜空に溶け出す
混ざり合って
色を変える空
ほんのり明るみを覚えて
闇に溶け込んでいた
様々なものを
浮かび上がらせる
まだ
ひとつふたつの窓に
灯りが燈るばかりの家々
真っ黒いビルの隣には
これもまた濃い黒の影を描く木々
街中にあって
そこだけ
うっそうと茂る葉は
社を守っている守護樹たちだ
陽が姿を表すと
街中に差し込む
真っ直ぐな光に照らされて
常緑の命を
冴え冴えと輝かせながら
飛び立つ鳥を見送る
そうして
また
一日の始まりの音が
静かに
響き渡っていった




