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コウモリのくる駅【現代】【深夜】【無観客】
夜遅く
駅の前
車の迎えを待つ間
小さい声で
歌を歌っていた
苦難の中で前を向いて
夢を追いかける歌詞だった
めずらしく音程も外さずに
一番を歌い上げて
脳内で間奏を聴いている間
靴底で砂を踏む音と
こちらを覗いてる誰かの気配
私は注目を浴びるのが不得手で
二番は口に出さなかった
ちょっと気まずい二人の時間
都会なのに
コウモリが飛んでくる駅
あれがバンパイアなら
噛まれていたのは
私かな
それとも向こうかな
車が来たから乗り込んだ
また歌って
夜が深まっていく




