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堕ちたのだろうか
ころり転がる
光の雫
なんて綺麗なんだろうって
それどころじゃないのに
見惚れてしまった
ごくごく平凡で
一般的な面立ちのあなたから
何故こうも美しい涙が
転がり落ちてきたのかと
失礼極まりない思考が
ぐるぐると渦巻いて
すぐには行動に移せなかった
そっと差し出すハンカチは
普段ならそつなくこなす
当たり障りのない所作だ
それなのに今回ばかりは挙動不審
自分ときたら
慌てふためき
ど ど どうぞこれを
どもって差し出すその手は
わずかばかり震えてた
堕ちたのだろうか
この自分が




