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夕闇前の流れ星
仕事を終えて
建物を出たら
夕闇にはまだ早いけれど
昼日中とは呼べない程度の
傾いた日が
空を淡い紫に染めていました
まだ明るみを残した空
その底の部分に
ピンク色の日射しが
溜まり始めて
ほんのりと闇を予感させる
やわらかな青みが
天上にかかっていました
星と月を探して
見上げる空の中央から
真下へ向かって
ぴ
と何かが駆け抜けていったのです
少なくとも自分には
そんな風に見えました
流れ星?
それとも目の錯覚?
まだ明るい空に
それはあまりにも儚くて
ほんの一瞬のきらめきは
追いかけるには短すぎて
けれど心に長く残る
鮮やかな輝きがあったのです




