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詩集・日ごとにひとひら  作者: 夜朝


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虫さされの彼女と薬を使う彼【恋人】【日常】

彼女の白い細い腕には


ぷっくりふくれた


虫さされの跡


始めは


爪の先で押し込んで


描くバッテン


それだけでは治らないかゆみを


どうすれば良いのか分からなくて


それが痛みに変わるまで


かりかり


ぱりぱり


爪の向くまま気の向くまま


引っ掻いて


掻きこわした


真っ赤な血が滲んで


もうかゆくない


「こら」


あいた


頭を軽く叩かれて


後ろからやってきた彼を


肩越しに見上げて睨みつける


「なによ」


「なによ、じゃない」



血に塗れて赤くなった


腕を取って


もう片方の手には


かゆみ止めの薬


スーッとする処方のもの


いや


もうそれは要らないのよ


今ごろ塗ったら沁みるだけじゃない


つかまれている腕を


引っ込めようとするけれど


つかまれている箇所は痛くない割に


しっかりと固定されていて


押しても引いてもびくともしない


そして今


塗布面が傷口へと


「うっぎゃ……!」


「これにこりて反省しろ」


「掻いただけじゃない」


「掻くな」


傷口へふーふーと息を吹きかけながら


笑いを堪える彼を


じろりと睨み上げた彼女は


かなり涙目になっていた

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