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土砂降り
大雨に降られて
乗らないバスの待合所
木目がきれいなベンチの上に
素足で乗って
手に持った靴下が
乾くのを待っている
靴下だけ乾いても
靴が濡れてちゃしょうがないよ
それでもいいって返された
そうか良いのか
自分はそれ以上何も言わずに
待合所の入口に腕を組んでもたれてた
なんだか大号泣だねって
ベンチの上から連れが言う
よしよしと宙を撫でる君の声こそ
まるで泣いてるみたいに震えてた
寒いのかと聞くと
野暮だねと
そうか野暮だったか
あえて聞かなかったのに
失礼なやつ
まあ良いさ
この土砂降りの雨も
やがては止むのだから




