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霧の中
それは早朝の
濃い霧が立ち込める
柄にもなく緊張するような
ひたりとした静けさの中でのこと
前髪を濡らす大気が
呼吸さえもさえぎって
命を根こそぎ奪い取ろうとするような
ひやりとした冷たさの中でのこと
誰かの声が俺の名を呼んだ
それは何処からの声
霧の中じゅうを埋め尽くすかのような
それはどこか懐かしい声だったんだ
今はもう何処にもいない
何処へ行っても会えない
それはまるで一生に一度だけめぐりあえる彗星のような
あでやかな生き様の幼なじみ
お前になら
連れて行かれても良いんだぜ
なんてな
きっとお前はそんなこと望んじゃいない
だから
そっちから見ててくれよ
不器用な俺の
くだらない生き方をさ




