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蛇草-Recollection -  作者: 津城志織
4/6

タービュランス

五月八日月曜日朝


私は教室で机に顔を隠して寝ていた。

昨日でゴールデンウイークが終わり今日は月曜日。

ゴールデンウイーク明けは本当に気分が参るし、憂鬱だ。

そういえば、ゴールデンウィークの間何もしてないな。

そういえば、おとといから特に誰とも人と話してない。


「ねえ、知ってる?今日転校生来るんだって。」


隣の空きの席に座っているクラスメイトがそう誰かと会話している。


...転校生。


私も、もともとは転校生だった。

それで誰とも馴染むことができなかった...。

私みたいにはなるなよ。

そう見たこともない転校生に陰ながら応援する。



私はそれからややうるさい雑音の中寝ているとチャイムが鳴り、少し静かになった。

すると扉がガラガラと開く音がした。

たぶん担任が入ってきたのだろう。


教卓に名簿長を置くと凛々しい声で喋り始めた。

「おはようございます。ゴールデンウィーク明けでも気分が浮かれることなくちゃんと落ち着けていますね。皆さんの中には知っている人もいるかもしれませんが、今日から転校生がこのクラスの一員となります。」


先生は相変わらず堅苦しかった。


「では、棚木たなぎさん。自己紹介をお願いしますね。」


棚木たなぎエリカですっ!みんなよろしくねっ!」


(うわ...やっぱり...。)


その声を聴き少し顔を上げるとそこにはエリカがいた。

髪は淡い紫色じゃなくて、髪型も違った。

昨日美容室に行ったのかな。

見た目は普通の女子高校生だった。

まさか、私目当てでこの学校に入学したのか?


「みなさん。棚木さんとクラスメイトとして仲良くしてくださいね。

 では棚木さん。あの後ろの空いている席があなたの席になります。」


ああ、私の隣の席だ。


「わかりました!。」


そう言うとエリカは私の隣の席に移動した。

私は心の準備がまだできてないので、顔を伏せていた。


「よろしくね。」


エリカは周りの生徒に挨拶をして席に座った。

私にも挨拶してきた気がしたが、寝ていて気付いてないふりをした。


そして、いつも通りHRが始まった。

内容はいつも通りの内容だった。

そして、HRが終わるとそれと同時にチャイムが鳴った。

すると、教室はまたうるさくなった。


「ねえ、君もしかして...」


エリカが私の肩を叩きそう尋ねる。

私は意を決して顔をあげた。


「みもりん!?やっぱりみもりんだ!。」


周りの生徒がエリカの声を聴くと振り返った。


「棚木さん。蛇草だくささんと知り合いなの?」


そうエリカに尋ねたのは私の前の席のよくしゃべりかけてくれるフレンドリーな子だった。名前は確か...。名札が見えないな。まあ、名前はいいや。


「そぉだよー、みもりんとはともだちだよ♪」


え?友達?私はともだちになった覚えはないけど。

それともエリカの友達のハードルが低いから私を友達としてくれているのか。


「よかったぁー...」


フレンドリーな子はふぅと息を吐いた。


「え?」


予想外の言葉につい声が出た。


「蛇草さん誰とも接しようとしないから、不安だったの。」


「えーみもりんってまさかボッチ?」


「たぶん...」


ボッチという言い方は少し嫌だったけど、私は認めざるを負えなかった。


「えー!。いっぱい友達作ろうよ!私と一緒に。」


「ふふ、よかった。蛇草さんに友達がいて。私の名前は坂見葡澄さかみほずみ。これからよろしくね。」


私に友達が一人もいないと思ってたのか、この坂見って人...。

私にも友達いるけどね、少ないけど。


「よろしくね、ほずみちゃん。私のことはエリカって呼んでね♪」


そんな感じで互いに自己紹介をした後、坂見とエリカは互いに会話していた。

私もその中に入り、少し喋ることができた。

久しぶりに人と会話したので、ちょっと楽しかった。


「そういえばさ、みもりんの名前ってどういう字なの?」


私は机に置いてあるノートを開き蛇草みもりと書いた。


「へぇー。蛇草の『だ』って蛇なんだー。てか、みもりん左利きだったんだ!意外ー。」


私は左手を見た。

それに坂見が気付くと気を利かして話を変えてくれた。


そして、そのまま会話は続いた後、チャイムが鳴り授業が始まった。

授業は相変わらずつまらなかった。

いつも通り、授業を乗り切り、そのたびにエリカを介して坂見などと休み時間に会話することができた。

それを繰り返していくとあっという間に昼休み、そして放課後になった。

エリカは今日結構な数の人と話していた。


「みもりん、放課後暇?遊びに行こうよ。」


「うん、別にいいよ」


あのゲームに関することだと思い。

私はそう答えた。


「じゃあね、ほずみちゃん。また明日。」


エリカがそう言うと帰る準備をしていた坂見は「ばいばい」といい私たちに

手を振った。


教室を出て、下駄箱まで行くとエリカは外靴を持ちキョロキョロしていた。


「待って。」


私が外靴を履こうとするとエリカはそう言った。


「靴持ったまま付いてきて」


私は靴下のままエリカに着いていった。

エリカも手に靴を持っており上靴を履いていなかった。

エリカは周りをちらちらと見ており、何かを探しているようだった。


「なに探してるの?私が教えようか?」


「人がいない場所ってどこ?」


私は理解した。

たぶんエリカは能力を使う場所を探してるんだ。

私は人が少ない特別教棟三階の誰も通らないところまで一緒に行った。


「うん、ここでいいかな。誰にも見られなさそうだし。じゃあ、私の家に行こう。」


そう言うと、エリカは私の肩に手を置いた。


「え?なにする...」


「の?...」


目の前の景色が一瞬にして変わった。

これがエリカの能力。

二日前見た瞬間移動みたいな能力だった。


「ここは私の部屋だよ。」


全体的にその部屋はピンク色の印象があった。

見た感じアパートの一室で部屋の広さは私のアパートと同じぐらいの大きさだった。

私たちは外靴を玄関に置き、その後リビングの机を囲むように腰かけた。


「私が頼んだことやってくれた?」


私は昨日、エリカからチャットアプリで能力について調べるように頼まれた。

昨日ほぼ一日中能力を使ったので、だいぶ能力は使えるようになってきた。

そして、エリカが特に調べてほしいという項目についてのことをリングノート一枚にメモとして書いてきた。


「うん。一通りやった。」


私はリングノートから切り取ったメモを渡した。


・まだ手を使ってでしか能力を使えない


・倍速巻き戻しはできない。


・五回連続で使用すると疲れてくる、二十一回までが限界

 能力を持続的に使った場合、5分が限界。


・巻き戻せる時間の上限があるかわからない。


・能力を一度使ったら、能力を使った意識が無くても一定の時間巻き戻される。

 能力を持続的に使った場合使用した時間巻き戻される。


・複数の物を同時に巻き戻すことはできる


「なるほどね。」


メモを読んだエリカが頬杖をついてそう言った。


「ねー、みもりん。この《《一定の時間》》って何秒くらいー?」


「それは計ってみたけど、巻き戻すものによって違う。その違いは私の意識にあると思う。大体、私が元に戻ったって思うところまで、巻き戻されるから。」


「なるほどぉ、便利だな。自動回復って感じで使えそう。」


自動回復。なんだかゲームみたいな単語。まあ、これも私たちがやっているのもゲームなのだけど...


「これだったら、まあ不自由に思うことはないかな♪たぶん、二十回連続で使うことはないからね。」


すると、エリカは自分の本を取り出した。


「そういえばさ、クリスタルのランキング見た?」


...クリスタル。あ、このゲームのことか。


「見てないよ。」


「クリスタルのランキングはね。毎週月曜日に更新されるんだ。

 どうなってるかなー。」


私もちょうど自分の本を持ってきていたので、ランキングのページを開いた。


1  黒百合美海    780pt

2  匿名    630pt

3  邑雨蘭洙 520pt

4  円山紬  460pt

5  加藤貴久 380pt

6  大安一弥 360pt

7  小川遠矢 341pt

8  棚木エリカ 315pt

9  佐々木沙奈枝 290pt

9  笠鬼紫苑   290pt


「げ!一位の人めちゃくちゃポイント稼いでるじゃん。」


先週のあの子のポイントは680点ぐらい。つまり百ポイントぐらい稼いでいる。

何人のクリスタルを奪ったんだろ最大19人からクリスタルを奪っている。


「みもりんの順位は何位だった?」


私は自分のポイント数が書かれている5ページを開いた。

それをエリカは覗いて言った。


「47位115ポイントね。みもりん救済買ってなかったんだ。」


「ちょっとポイント貯めてて、買えないんだ。」


「へー。なんでポイント貯めてるの?ゲーム辞めるため?」


「違う。友達の場所をポイントで買うため...だよ。」


「もしかして、あの一位の人の場所?そうだったら、ポイントすごい稼がないといけないじゃん。」


稼がないといけないポイントはあと185ポイント。

杏一が今どのくらいポイントを稼いでいるかどうかわからないけど百ポイント以上稼がないといけない。


「うわ300ポイントじゃん。それで、みもりんがあと185ポイント稼ぐには私たちで370ポイント稼ぐ必要があるね。」


「370ポイント...」


今の私には370ポイント稼ぐことなんて想像がつかない。


「ふふ、怖気づいた?でも、そんなに心配する必要はないよ。とりあえず今週は100ポイント稼ごう!ポイント稼ぐの意外と簡単だよ」


「え、百ポイントも?それが簡単?」


「余裕余裕。青か紫のクリスタルを五個転送すればいいだけだからね。あんまいないけど...」


「そういえば、どうやってポイント稼ぐの?」


「ああ、その方法はね。主に二つある。ポイントでゲーム参加者の場所を買ってその人のクリスタルを奪う方法と状況を見てたまたま見つけた相手のクリスタルを奪う方法の二個があるよ。で、私たちがポイントを稼ぐ方法として使う方法は前者の方ね。ランキング上位者はポイントを支払うことなく、場所がわかるからね。」


ランキング上位者はポイントを支払うことなく、場所がわかる...ということは、エリカが二日前私に会いに来たのはその方法を使ったのか。


「じゃあ、早速ポイントを稼ぐ?ここ結構都会の方だからちかくに参加者結構いるんだよねー。」


エリカは本をめくりながら、そう言った。


「ええと、近くにいるのは...神奈川県...市...2丁目...周辺って、え!これ、めっちゃ近いじゃんっ!これ、みもりんでもないし」


私は状況のページを開くと近くに二人いますと表示されていた。

一人はエリカもう一人は恐らく...。


「バリンッ!!!!」


ガラスが割れる時特有の轟音が私の鼓膜を響かせた。

それと同時に台風の時のような強風が部屋に舞い込んでくる。

その強風により部屋にあるものは一気に強風が舞い込んでくる方向に飛んだ。

本棚は倒れ中にある本が散らばり、机も茶部隊返し下みたいに飛んでいった。


「——ッ!」


私はその強風により体が浮き、壁にひどく体を打ち付けた。

わき腹を打ったので、息ができなくて苦しい。

エリカも同じで部屋に入ってくる強風により壁に押しやられていた。

しかし、エリカが傷を負っていた。ガラスの破片が腕に刺さり腕からは血が流れ手のひらまで赤く染まっている、顔にもガラスが刺さっており額から血を流し顔の約半分が赤くなっており、片目を瞑っていた。


「くそっ!逃げるよ!」


すると、エリカは風に吹き飛ばされないように身を屈めている私の横に能力を使って移動した。


すると、私の背中に手を置いた。

しばらく、すると強風は止んだ。


「危なかったね。」


顔を上げると、そこにはさっきのような荒れた部屋ではなく、綺麗な部屋があった。

どうやら、能力でこの部屋に移動した。

これが、エリカの能力...。























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