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ガフンちゃんとあたし 〜 言葉の通じない友達のことをもっと知りたい 〜  作者: しいな ここみ


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【エッセイ】台湾旅行の思い出 〜 台北編 ② 〜

 台湾旅行記最終回となります。



 コロナウィルスが世界に蔓延する前の年のお正月を、私達は台湾で、大忙しで過ごしました。何が大忙しだったのかは後で。


 桃園空港に着いたのは大晦日。もう3回目になるので「来たよー」というよりは「ただいまー」という感じ。空港内はコンビニがなくなっていたりと多少の変化はありましたが、贔屓のパン屋さんの店員さんは顔を覚えてしまったいつものお姉さん。ただし「また来たよー」とか言っても覚えて貰えてはいません、たぶん。


 フードコートから上へ昇るエレベーターに10人ぐらいで乗り込んだ時のこと、誰もボタンを押さずにみんながボーッとしていました。10秒ぐらい、動き出さないエレベーターの中でしーんとしていて、ボタンに一番近いところにいた白人男性がようやく気づいて笑い出しました。


「オ〜ウ! ペラペ〜ラ、ペラペ〜ラ! ハッハッハ!」


 その男性がオーバーリアクションと明るい声の英語でそう言いながらボタンを押すと、日本人の私達も、台湾の人も、韓国語っぽい言葉を喋ってたカップルも、イスラムな服装のおばさんも、なんとなくタイ人かな?みたいな人も、みんながアハハと笑いました。このエピソードは作品の第一話目にも使わせて貰いましたが、欧米の人の明るいノリってやっぱりいいな。



 台北の町は大都会です。とは言っても東京とも大阪とも違って、やっぱり独特。現代的な部分と中国四千年の歴史に源流をもつ神秘的な部分が混在していて、裏路地に入り込んだらカッコいい台湾ヤクザの兄ちゃんと関羽様が並んで出て来そうな感じ。

 でも公園で出会った台湾猫に日本語で話しかけたら「ニャー」と猫語がちゃんと返って来て、スリスリもしてくれました。猫はどこの国でも同じ猫語を喋る猫が住んでるのだなあ。


 台中は前に書いた通り、可愛い女の子の名産地という印象でしたが、台北には様々な人が歩いていました。でもなぜだろう、台中ではいくらでも見た可愛い女の子を、台北ではほとんど見かけなかった。たまたまなんだろうか?


 あ。その代わり、可愛い男の子は台北のほうがちょっとだけ多かった。



 連れは毎回ライブが目当てです。私はそれに付き合って食べ物を楽しんだり、買い物を楽しんだり。その日のライブは有名な台北101(イーリンイー)の袂にある台北国際会議場TICC。地下鉄に乗って行きました。

 

 台北101(イーリンイー)は少し前まで世界一の高さを誇った101階建ての超高層ビル。地震の少ない中国が耐震気にせずやたら高いのを建てたためあっという間に世界一の座を譲ったそうですが、いやこれが今世界一じゃないってどうよ? 信じられないほど巨大なその姿に目を疑いましたよ。巨大怪獣って、本当にいたんだ? ぐらいの衝撃でした。上のほう、霞んでた。


 大晦日、つまりその日、台北101(イーリンイー)では毎年恒例の花火イベントがありました。ライブが終わって時間にもし余裕があれば観て帰ろうという話になっていました。巨大ビルの窓にディズニーランドのお城みたいなアートが描かれて綺麗なのだそう。


 近くの公園に屋台がたくさん出ていました。食べてみたかった大雞排ダージーパイ(超大型フライドチキン)。レモンソルトで頂きました〜。皮パリッパリ、中ジュンワッジュワ。美味しかったぁ♡


 ワンタンをスープで。大きなワンタンの中に具がたっぷりで、これも美味しかったぁ♡

 ちなみに中華圏の人はワンタンと麺は別に食べるそうです。ワンタン麺なんてメニューはない。だって点心はそれだけで完成された一食だから。日本に存在する『餃子定食』なんて、肉まんとご飯を一緒に食べるぐらい信じられないそうです。


 ちなみに本作第21話『鏡の中からお姫様』でガフンちゃんが給食の餃子と五目ご飯を前に呆然としていたのは、これが理由です。



 さて臭豆腐の屋台を発見。当然突撃します。コンビニで買い溜めておいた缶の台湾ビール『金坏ジンベイ』と一緒に持って、芝生の上に座り、巨大建築を見上げながら頂きました。ちなみに周りにも人がたくさん座り、同じように何かを食べていましたが、ビールを飲んでいるのは私達だけでした。台湾の人はお酒はお酒だけを飲み、食事もおつまみも食べないのだそう。


 前回食べた臭豆腐は日本人向けのマイルドなものでしたが、今回のは嬉しいほどに強烈な、なるほどこれが!と言いたくなるほどのしっかり臭い揚げ豆腐。泣けるほどにスパイシーな臭いにビールが進みました。満足しました。楽しかった。面白かった。また食べたいなぁ……。



 12月は亜熱帯の台湾でもさすがに日が暮れるのが早く、ライブ会場へ移動した17時半頃にはもうすっかり暗かったように覚えています。


 18時半にライブが始まり、まぁ22時までには終わるだろう、終わったらバスか地下鉄で台北駅に戻り、新幹線に乗って桃園空港へ移動して、前回と同じく空港で寝よう、そういう予定でした。


 ところがこのライブがなかなか終わらない。大御所アーティストの年越しライブで、様々なゲストが登場するので、出演者は裏で休憩を取り取り、MCもそれほど入れることなく、延々と続きます。


 バラエティーに富んでいて素晴らしく、長いお喋りがないので言葉の不自由な私にも飽きることなく楽しめ、連れの推しがゲストで出演していて、出て来たり引っ込んだりなので、途中で席を立つことも出来ません。


 結局ライブは6時間を超え、50曲以上をやったらしいのですが、翌日の飛行機に間に合わないかもという不安があったため、私達は0時を知らせる花火の音が外で鳴り響いたのを聞くと、途中退場しました。


 さてここからが大忙しの始まり。


 地下鉄もバスもこの時間になるともうありません。

 なんと車道が歩行者天国になってしまっており、タクシーすら走っていませんでした。

 ライブ会場から台北駅まで、どれぐらいだったろう。確か8kmぐらいあったように思います。

 歩きましたよ、延々と。

 みんな歩いていました。


 台北駅に辿り着いた頃には足の裏が擦り切れ、もう、歩けない。

 新幹線もバスもとっく終わっていて、タクシーもいなかった。

 桃園空港まで行く手段がない。

 っていうか、もう、体力もない。


 台北駅の中で寝ましたよ。


 地下道みたいなところで、地べたに新聞紙敷いて、壁にもたれて、2人でくっつき合って。


 前回寝た桃園空港にはベンチやソファーがあり、ある程度快適に眠れるようにはなっていましたが、ここは本当に冷たいコンクリートの上で、ホームレス体験。


 同じように寝ている人が海のようになっていました。


 2回ぐらい、通りがかりの女の人が連れに何か言い、連れが面倒臭そうに何か答えていましたが、どーでもいい。ただひたすらに歩き疲れて、深く眠りました。




 最後に散々な目には遭ったけど、今から思えば楽しすぎる思い出です。

 台湾おじさんの真似をして、檳榔びんろう(齧ると軽いトリップのできる木の実)を試してみて、あまりの不味さに吐き出したことも、

 巨大毒カタツムリの群れに遭遇したことも、

 台湾にはQバイクという便利なレンタル自転車があり、実際駅まで歩く途中で見かけたけど、でも外国人が利用するには面倒な事前登録をしておかないと無理だと言った連れの知識にはなかった、後から知った、簡単に借りれるレンタル自転車もあったことも!



 翌日は桃園空港内にある贔屓のパン屋さんでパンをたくさん買いました。

 ここのパン屋さんはお勧めです。特にツナパン。

 日本でツナパンといえば軽い生地のパンにツナとマヨとオニオンが乗ってる感じだけど、それとは全然違う!

 ギュッと密度のあるデニッシュ生地の、特大大判焼きみたいな形のパンの中に、塩味のツナとオニオンがぎっしりと詰まっています。

 その重さはまるで一本1.5kgあるフェレットと同様(あくまで個人の印象です)。



 あぁ……。


 台湾、また行きたいなぁ……。


 台湾行きたいわん。




 あ。ちなみに前回に出て来た台湾の有名人による倉吉市のPR動画は実在します。ユーチューブにもあります。


 A-LINさん(台湾トップの歌姫)が、倉吉では有名な『白い鯛焼き屋』のおじさんのギターの伴奏で、近所の皆さんと「オイシイ、オイシイ」みたいに歌っている動画で、とっても温かいです。


 ガフンがそれを見て「この中に入ってみたい」と思うには充分な動画ですよ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 旅行記、いつも楽しく読ませていただいています(*^。^*) よくぞご無事で…(/_;) まさか、しーにゃんのようにノミにやられたりしませんよね(^^;)
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