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22 防衛作戦です

 翌朝。

 俺はリエルの部屋の扉をノックした。


「おはようロード」

「あぁ」


 言葉数も少なく準備を進める。

 元々俺達はそこまで口数が多い方でもないだろうし。

 

「ところでロードってナティアと出来ていないのか?」

「はぁ?」


 いきなりの言葉に困惑する。


「昨夜私が水を飲みに部屋を出たらロードの部屋に向かうナティアがいたからな」

「あぁ」


 そう言えば俺のベットに潜り込んできていたな。

 変な事実を作られるのも嫌で皆が起きる前に部屋に戻したが。


「やったのか?」

「何を?」

「そうか」


 何で安心したような顔をしてるんだ。


「まぁいい」

「何がまぁいいんだよ?」

「まぁいいと言っている」


 リエルが先に歩いていくので俺はその後ろをついて行く。

 目的の場所は同じだからひたすらついて行けばいいのは楽でいい。


 特に会話もなく時間が進む。

 久しぶりの感覚だな。


 そう思いながら俺たちを乗せた馬車は難なく鬼人族の森にやって来ていた。

 ルーズを丁寧に下ろしてやって俺達は歩く。


 ルーズの道案内で近道などを教えて貰いながら集落に向かうことになった。

 そして着いたところ


「何者だ!」


 鬼人族の兵士が俺たちに槍を向けてきた。

 しかし


「やめて!この人達は味方!」


 ルーズがそう言って兵士を止めてくれる。


「中に入れてあげて欲しい」


 ルーズの言葉で兵士は頷くと俺達を中に案内してくれることになった。

 集落を進むと一際大きな家に招かれた。


 中に入ると


「私はこの村の長だ」


 と短く挨拶された。

 どうやらこの集落の長らしいが。


「遥々来てくれたようだな」


 良くないものを見る目で俺たちを見てくる。

 本当に関係は悪いらしい。


「こちらを」


 リエルが手に持っていた封筒を長に渡す。


「我々人間の考えを書いた手紙だ」

「ほう」


 目を通し始めた長だったが。

 何が書いてあるのかは分からないが首を横に振る。


「悪いのだが今は時期が悪くてな」

「と言いますと?」

「モンスターが今夜この集落を襲ってくると偵察隊から報せがあってな」

「何だって?!」


 叫ぶリエル。

 そういうことなら。俺も提案がある。


「勿論防衛するのだろう?」


 頷く長を見てから俺は続ける。


「俺も参加させてくれ」

「悪いが人間は信用出来なくてな。変に頭数に数えてはどうなるか分からん。足を引っ張られても困る」


 言われると思ったよ。そのためのルーズだ。


「この人は信用できる!私の角を治してくれたすごい人だもん!」


 彼女がそう言ったら


「つ、角を治した?!」

「折れたら再生しないと言われている角をか?!」


 今この家にいた兵士達が騒ぎ出した。


「そうか。ならば作戦に参加させよう」


 そう口にする長。


「俺からひとつ要求したいものがある」

「何だ?」

「本のページを探してる。それを報酬として譲って欲しい」


 長が後ろの棚から何かを出して俺に見せてくる。

 そこにはこうあった。


【回復魔法】


 と。


 この文字は間違いない。


「探してたのはこれだ」

「我々には無用のものだった。防衛に成功すれば譲ろう」

「感謝する」


 とりあえずこれで取引は成功した。

 それにしてもルーズがいてくれて良かった。こんなにも取引がスムーズに進んだからな。


「だが、成功はしないだろうな。今から逃げることをオススメする。非力な人間一人加わったところであの群れを抑えられるとは思えない。家に帰って布団で寝ている方がいいぞ?」


 と顔を暗くする長。


「モンスターの数は3000と言われておりこちらの戦力は300程だ。厳しいだろうな一人10体は倒さなくてはならない」

「その戦力にモンスターの攻撃一撃で倒れるやつはいるか?」

「いや、いないが」

「なら問題ない」


 俺はそう言うと立ち上がる。

 夜になるまでに地形を観察しておこうと思ったからだ。



 夜になった。


 明かりは松明のみだ。


 鬼人達がそれぞれ砦の上で矢を構えている。

 いつでも攻撃出来る様子だ。


「来たぞーー!!!!!!」


 モンスターが見えたらしい。

 矢を一斉に放ち始める鬼人達。


「1匹やった!」

「こっちは2匹だ!」


 順調な滑り出しを見せているこちら側。

 しかし


「ギャァァァァァァ!!!!!!」


 ダメージを受けた奴が出た。

 砦の上で転がり回っている。


270→90


「あいつはダメだ!捨てて攻撃しろ!回復なんてしてる暇はない!」


 鬼人達はそいつを見捨てて攻撃を続ける。

 こいつを助けて延命させるのは無駄だと判断したのだろう。

 実際にそういうことは多い。

 だからこそ回復術師はいらないと言われている訳だし


「ヒール」


 だが俺だけは例外だ。


90→270


 鬼人の男を回復させた。


「な、何だこの回復量!まだ戦える!うぉぉぉぉ!!!!」


 男は砦から攻撃を始めた。

 それに対して周りの鬼人が驚いていた。


「おい!お前大丈夫なのか?!」

「あぁ!何故か大丈夫だ!」


 そう返事をしているが


「ギャァァァァァァ!!!!」


 声をかけていた方が逆に攻撃されてダメージを受けた。


「くそ!助からねぇな!次を受ければ倒れちまうし回復してる暇はない!今もモンスターはきてるからな!」


 だから勝手に殺すなよ。


「ヒール」


 俺はダメージを受けた奴を回復。


「な、何だ?!力が湧き上がってくるぞ!」

「す、すげぇ!何だこれ?!」


 あちこちでダメージを受けているやつが現れ始めたからまとめて回復させた。


「すげぇ!!」

「無限に戦えるぞ!何だこれ!」

「こんなの見た事ねぇ!」

「これは神が我々に味方をしてくださっている!皆勝つぞ!」


 そうして鬼人達の奮闘により。


「か、勝った!」

「勝ったぞぉぉぉ!!!!!」


 モンスターの大軍に勝っていた。


「な、何が起きた?!これは!!!」


 家から飛び出してきた長。


「何だ!これは!何故勝てている?!」


 信じられないような顔をしている長。


「勝てたんですよ!長!この人のおかげですよ!」

「そう!ロードさんのお陰です!この人の使う回復魔法は神のような魔法だった!どんな瀕死状態も一瞬で回復してしまう!」

「そう!俺達は攻撃を避ける事すらせず、ただ武器を降っているだけで勝ててしまったんだ!奇跡だ!」

「俺なんて途中から本当にモンスターの攻撃避けなくなったぜ」


 なんて事まで言い出す奴がいた。

 途中から回復量が増えたと思ったらそういうことだったのか。

 

「そういうのはやめて欲しいんだがな。俺だっていつまでも回復できるわけじゃないから」

「すいやせん、でも初めてのことで快感だったんです!体力を気にせず戦えるなんて!ロードさん、あなたは素晴らしい方だ!」


 そうやって勝利の余韻に浸る鬼人達。

 まぁ俺にとってこの作戦の結果には興味が無い。


 ただ本の続きが欲しいだけだから


「約束していた報酬だ。それからあなたの実力を知らずに失礼なことを言ったこと謝罪させてくれ」


 頭を深く下げながら長が報酬を渡してきた。


「ロードさん、時間は大丈夫だろうか?」


 報酬を受け取ったが俺は長にそう言われた。

 まだ何かあるのだろうか。


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