夏の便り
真青に光る
水平線から
入道雲を釣り上げて
日がな一日
綴る便りは
さりさりと積む
かき氷の上
いちごのシロップを
振りかけ描く
口に含めば
甘くあるよう
溶けてしまえば
忘れてしまえるよう
空の端っこ
白いカモメを貼って
送る便りは
瑠璃色の風まかせ
陽射しに炙られ
浮き出る宛名
波が寄せれば
掻き消える
潮騒に紛れた
「お元気ですか?」
眩しさに
細めた目の中の
乾いた空ひとつ
まばたきで
飛び越えたなら
濡れることのない
今は遠い日に
宛先も知らない
今は遠いひとへ