気付く者たち
マルス達が乗った宇宙船が惑星と衝突しようとしていた頃、惑星の至るところでその衝突を目撃していた者達がいた。
惑星〈????〉
大自然に囲まれた山奥に、2人の原始人のような姿をした男達が食事をしていた。
「兄者!空に何かありますぞ!見てくだされ!」
「騒がしいぞ弟よ。…ん?あれは…宇宙船か?珍しいこともあるものだな。…む?これは!…あの船にいる者らはただ者ではない!!…とてつもない「動力」を感じる!」
大破する宇宙船を眺めながら、落下していく破片の一部を眺めていた。
惑星〈????〉
至る所に機械やロボット、人工的な無機質な建物などが立ち並び、大雪が吹雪いている。
ウィーン。ウィーン。
ロボットのような物体が数百体も縦に綺麗に立ち並び移動している。
その内の一体が突如停止し、空を見上げる。
ピピッ!
「未確認飛行物体ヲ感知。惑星表面ニ衝突ノ恐レアリ。…落下予測ヲ計算中」
「エリア23付近ニ落下予測を推定。探索部隊Bヲエリア23ニ集結命令」
惑星〈????〉
草木も枯れ果てて、殺風景な景色が続いている酷く荒廃した土地に豪華絢爛な屋敷が建っている。その屋敷で1人の女性がベッドの上から外を眺めていた。
その女性は頭から角が生えており、背中からは翼のようなものが生えている、いわゆる悪魔の様な風貌であった。
「あら。地獄沼の近くに人間が降ってくるなんて。珍しい事も起きるのね」
その妖艶な見た目をした女性は不敵な笑みを浮かべていた。
惑星〈????〉
騎士団らしき甲冑を着た人々と荒くれた格好をした武装集団が戦闘を繰り広げている。
「全軍!砲撃止め!」
騎士団の指揮官らしき人物が団員に対して号令を出す。さらりとした金髪の長い髪をなびかした美顔な男の指揮官は敵対する武装集団を一瞥するとふいに空を見上げる。
「全員一旦退避だ!結界を貼り直せ!…っち。被害が大きいか。ん?なんだあれは?」
武装集団の頭と思われる人物が部下達に指示を出していると、上空の様子が気になり頭をあげる。
騎士団の指揮官と武装集団の頭は、おそらくお互いくらいしか気づいてないだろうと思っていた。それ程までに強い波動をはるか上空から感じていた。
〈????〉
銀一色で内装された簡素なデザインの建物を1人の女性が急ぎ足で歩いていた。
その女性は目的の扉の前に着くと、白衣の胸ポケットからIDのようなものを取り出す。
ピピ!
電子ロックが反応し、自動扉が開く。
コツコツコツ。
中に入り、全面に大きな監視モニターが並ぶ場所まで階段を上る。
「遅くなりました。外面シールドに未確認の宇宙船が衝突したとか?」
「如月か。ああ、どこの惑星の船かは不明だが小型の宇宙船が衝突したようだ。積載物は今鑑定中で、乗組員の数はまだ不明だそうだ。映像記録によると10数名らしいが…」
髪の毛をオールバックにした堅物な印象の男がメガネを直しながら答える。
「妙ですね。奴らも今は休戦状態のはずですが」
「奴らならこんなマネはしない。おそらく遠い惑星系から迷い込んだ船だろう。人数の規模からも害はなさそうだ」
「そうですね。それに衝突した破片等は各惑星に落下しているようですし、問題ないでしょう」
「ふん。当然だ。この〈中央惑星統括部〉には偶然では辿り着けるはずがない。」
男はそう言うと誇ったような顔で口角を上げた。
そんな会話をしている建物のわずか800m程下の場所である男が額に汗を浮かべ、あたりを見渡していた。
「やっぱりここに墜落したのは俺だけみたいだな。ま、当然か。この場所だけは異常な磁力を纏っていた。俺くらいしか辿り着くことはできなかっただろう…それにしてもあいつらは無事着陸できたのか?」
船が衝突した影響により体中にすり傷がついた状態にも関わらず、片手と両足を器用に建物に密着させて張り付いているマルスがそこにいた。
[マルス=コーゲン。能力:磁石化]