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『002』

 『002』


 僕の名前は鮫島(さめじま)(いつき)。華の高校2年生だ。趣味はオカルト系分野の研究!例えば宇宙人はいるんじゃないか……とか、タイムマシンはどうすれば作れるのか……とか、そんなことを日夜研究している、情熱的なサイエンスマンだよ!

 で、そんな研究の中でも、最近特に熱いのが……


「お前また変なノート作ってんのかよ!」


 手元のノートが無理矢理に奪い取られた。

 ちっ……邪魔が入ったか。この空気の読めない眼鏡野郎は、僕の数少ない友人の一人の「三木(みき)由人(よしと)」である。通称ミキ。


「変なノートじゃねえよ。これは立派な研究ノートなんだ」


 そう言って僕は彼からノートを奪い取る。


「いやいや、研究っていうか……ただの厨二病設定ノートでしょ。もう俺らも高2なわけだしさ、もちっと大人っぽいことやろうぜ?な?」


「大人っぽいこと?」


 そう呟くと、ミキは黒ぶちの眼鏡の奥でキラキラと目を輝かせながら、僕のひ弱な肩をガッシリと掴んだ。そして、僕の目を揺らぐことなく真っ直ぐに見据えて、彼はこう言うのだった。


「彼女をつくろう……!」


「くだらねえ……」


「くだらねえ……とはなんだ貴様!お前は女に興味がないのか!?あれか、あれなのか!お前はゲイなのか!」


「ふざけるな。僕はもちろんゲイじゃないし、女の子にも少なからず興味はある。一般的な男子高校生が持ち合わせてるくらいの興味は、もちろん持っているよ」


「じゃあなんでノッてこねえんだよ?彼女欲しいんだろ?一緒に作ろうぜ……同志よ」


 ミキは再び円らな瞳をキラキラさせて、彼女作りプロジェクトへの熱い気持ちを語り始めるのだった。どうやら想像以上に女の子に飢えているらしい。彼の話は全体的に生々しくて、聞いているのが結構辛かった。

 それにミキは声がデカい。ゆえに教室一杯に響き渡るボリュームでそんなことを語るもんだから、もはや演説みたいになっている。クラスメート全員ドン引きである。彼のプロジェクトは難航しそうだ。


「確かに女の子と仲良くしたいとか、あんなことやこんなことをしてみたいとか、色んな願望にかられることはあるよ。男だからね。でも僕は今それ以上にやらなきゃいけない……というよりも、やりたいことがあるんだよ。女の子どころじゃないんだ」


「お前やりたいことってのは……その」


「そう」


 そう。その通りだミキ。

 僕が、人間の三大欲求でもある性欲を乗り越えるほどに熱くなっているモノ。それが、このノートに書かれたことなんだよ。

 先ほどはミキの乱入により話が途切れてしまったが、僕が今最も熱くなっているモノというのが、この『魔法研究』なのだ。


「僕は、女の子とイチャイチャするよりも、魔法を使えるようになりたいんだよ」


「サメ……お前って本当に変人だな」


「まあ、否定はしない」


 僕はそう言ってから、でも、と付け加える。


「魔法が使えるようになれば、女の子だらけのハーレムを作れるぞ」


「!?」


 ミキは再び目を輝かせていた。


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