プロローグ〜孤児になるまで〜
初投稿。やる気はあまりないが(ならなんで書いた)それなりに頑張ってみます。
ですので、それなりによろしくおねがいします。
聖暦359年グラジオラス(←月のこと)25日
聖誕祭当日、とある少年が生まれた。
貧しいながらも幸せに暮らしていた夫婦の間に生まれた子供…
聞けば今後も幸せに育っていくのだろうと、
誰もが思うだろう。
当事者の夫婦でさえそう思っていたのだから…
少年の中に眠るとある力のことも知らずに…
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聖暦359年同日
とある少女が生まれた。
弱小ながらもちゃんとした領地を持ち、
身の程をわきまえ、しっかりと領地を治める
下級貴族の子供…
この少女は幸せに暮らしていくだろうと、
領民も、召使いも、領主でさえも疑わなかった。
少女の中に宿る絶望の力も知らずに…
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聖暦364年某日
「この役立たずが!」
「きゃ!」パリーン
「と、父さん!」
「なんだぁ?その目は?なるほどぉお前もお仕置きして欲しいんだなぁ?」
「もうやめてよ!父さん!」
「うるせぇ!俺が何しようが勝手だろうが!」
父さんは変わった。
何時頃からか酒に溺れるようになった。
僕はまだ五歳だ。子供にできることなど
殆ど無いに等しい。
繰り返される暴力の嵐がすぎるのを
じっと耐えて待つことくらいしかできない。
だが今日は何か違った。
しかし何も違わない風景に戸惑っていた。
それは、突然のことだった。
僕に拳を振り上げた父さんはピタリと動きを止め、
力をなくしたようにだらんと腕を落とし、
そのままパタリと倒れてしまった。
「父…さん…?」
父さんはそれから動かなかった。
ゆっくりと近寄り父さんを揺すってみる。
何も起こらない。
母さんが急いで近寄り、何事か確認した。
母さんは何も言わず、荷物をまとめ出した。
「ねぇ、母さん?父さんどうなったの?」
「あなたも荷物をまとめなさい。」
母さんはそれから無言で荷物をまとめた。
仕方ないから僕も荷物をまとめた。
それから母さんは僕を孤児院に預けると
どこへ行くとも言わず、行ってしまった。
その時、幸か不幸か
自分は捨てられたのだと悟ってしまった。
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聖暦364年某日
私は聞いてしまった。聞いてはいけないことを。
私は下級貴族の娘。
家には少なからずメイドがいる。
メイドというのは噂話が好きな生き物らしい。
私が聞いたのはそんなメイド達の
噂話の一端だ。
『お嬢様が孤児院に預けられるらしい』
というものだった。
最初はただの噂だと思っていた。
だが話を聞くに連れ、現実味を帯びてきていた。
ここ最近領地の経営がうまく行っていないらしい。
このままじゃ貴族の位を剥奪されてしまう。
貴族の位を剥奪されれば没落貴族として
蔑まれるだろう。自分たちはどうなってもいいが
娘だけは助けたい。どうすればいいか。
最初から貴族でなければいい。
なら、孤児院へ預けて貴族でなくしてしまおう
という事らしい。
少し怖くなっていた。そんなことはあるはずがないと思っている。でも可能性がないわけじゃない。
お父様に確認しようと思ったが怖かったからできなかった。
―――それから数日たったある日。
お父様はすごい形相で私に今すぐ荷物をまとめなさいと言った。何故か聞こうとしたが有無を言わさぬように荷物をまとめなさいの一点張りだった。
しぶしぶ荷物をまとめ、
お父様についていくと孤児院についた。
そして、お父様は優しい声で「自由に生きなさい」
と言って、そのまま馬車に乗って行ってしまった。
あの噂は本当だったのだなと絶望した。
とりあえず、普通にプロローグですね。普通過ぎて笑えますね。