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選ばれたのは魔王でした。  作者: 草原
第二章 クラント王国とティア
25/27

2-13 侵入計画

女に報告し、ギルドで金を受け取って宿屋に戻る。


デルにも話を相談しようと召喚して、4人で円をつくるようになる。

三人寄れば文殊の知恵って言うし、人数は大事だろうと考えたからだ。


「…別に、助けなくてもいいと思うけどね」


「は、ぁ?なんでだよ。同胞だろ?」


「…まあ。でも、レオンより大事じゃない」


「…それは、」


口論が苦手そうなデルだったが、どうにも。強かったらしい。


「いいよ。いくって決めたし。そんな拗ねないで案だして」


「……キイが時間止めて、連れ出せば?」


「…魔力持つかなぁ」


確かに一番安全で、確実な方法な気がする。

一番の懸念点は俺の魔力だが、あの日レベル上げをした俺のステータスは飛躍的に上がっているので可能そうではある。


―――――

レオン・グンジヨート 人族 ***

Lv35

HP:430/430 MP:8120/8120(+1400)

攻撃力:212 防御力:330

魔法攻撃力:1044(+299) 魔法防御力:730(+130) 素早さ:298

契約者:デル、ラン、キイ

―――――

【固有】スキル獲得確率上昇Lv.1

錬金術Lv.4 畑仕事Lv.3

言語Lv.5(Max) 読解Lv.3

社交Lv.2 散策Lv.4

算術Lv.5(Max) 鑑定Lv.3

料理Lv.2 痛覚耐性Lv.2

詐術Lv.2 探知Lv.2

魔力感知Lv.1 剣術Lv.2

魔力操作Lv.1 精霊目視Lv.2

隠密Lv.3 隠蔽Lv.3

聴覚強化Lv.1 威圧耐性Lv.1

表情操作Lv.2 念話Lv.2

並列思考Lv.2 気配察知Lv.1

HP回復速度上昇Lv.1

MP回復速度上昇Lv.1

<召喚Lv.2> <精霊魔法Lv.4>


―――――

異世界人 女嫌い

旅人 勇者or魔王

―――――


自分では割と成長を感じているが、どうにもスキルレベルは運みたいなところがあるから…。


若干曖昧な計算ではあるが、キイの魔法で時間を止めたことはある。

あの2回程度だが、5分程止めてMPが約2000持っていかれることを考えると、1秒で6~10MP吸い取られる。多分。今はMPが約8000あるので、見つからずに順当に行くと仮定すると…。


「まあ、13分弱…?」


「見つかることは無いだろうが…魔力が切れると後が怖いな」


「13分で探して、見つけて、持ち出して…?」


「難しい、ですかね…?」


ちょっと難しい、かもしれない。だって、あの協会は結構な大きさだった。

場所は今日のあの部屋かもしれないが、違ったら目も当てられない。一から探す時間はないだろう。


「…あ、ランの魔法は?」


「私の?」


「認識疎外の結界が張れるなら俺の周りにだけそれを張って…」


「ええっと、常にレオン様の周囲に結界を張る形ですか?」


「無理?」


頷いてそう聞くと、難しそうな顔をしてランが唸る。

割といい案だと思ったのだけど。


「その、結界はなんていうか。場所、に張るものなんです。対象が人じゃなくて…」


「あー…へぇ…。いや、わかった」


無理らしい。

いよいよ困ったなあ、と頭を抱える。


「…仕方ない。俺が一肌脱ごう!」


「んん?」


ぱちん、と指を鳴らしてそう宣言したキイは、少し待っていてくれ!と言い残して姿を消した。


「…なんだ?」


「さあ?」


「ま、まあ。悪い結果にはなりませんよ!」


「そりゃまあ、気にしてないけど…」


多分、30分とか。結構待った。

ベッドの上で2人としりとりをしながら魔力感知を育てる。常に気を張っていれば、まあ育つかなって。


もう今日は帰らないかもな、と早々に諦めようとした瞬間。

俺の魔力感知が大きな魔力を感知した、気がした。


―――――

スキル:魔力感知Lv.2を獲得しました

―――――


「よっ」


「キイ?」


キイが目の前に現れ、その魔力の塊に驚く。

更に意識してみると、精霊は膨大な魔力の塊のようだった。


「ん、役に立ちそうな奴を連れてきたぜ!」


「役に立ちそうな…奴…?」


その言葉にきょろ、を辺りを見渡して、見つけた。

キイの後ろに隠れるようにして、いる。


「きみ?」


「ぇ、ぁ、は、はい!その、はい!」


「ええっと?新しい精霊?」


「おう、上級だし割と使えるって!」


「え、あ。ふうん…」


上級って確か200人しかいないんじゃなかったっけ?と頭を捻りつつ、あれは過去のデータだったのかもしれないと思考を霧散させる。そんなレアな精霊がぽろぽろ出てきて堪るか。


「…それで、君名前は?」


「えっ!見える??見えるんですか!!??ぼ、僕見える人初めて見ました!」


「どんだけ外でないんだお前。そりゃ珍しいけど初めてってなあ?」


「あれ?**君?久しぶり~!」


キイとランの知人らしく、部屋が和やかな雰囲気に包まれる。

ランに至っては、キャラが全く違ってびっくりだ。


「―――なんて?」


「あ、すみませんっ。精霊の名前は本人の許可がないと聞き取れないんです」


「えっ、そうなんだ?」


つい、と視線をおどおどしている精霊に向ける。

ビク、と肩を揺らしてキイの後ろからこちらを除く彼は、随分と後輩気質らしかった。


「キイ、それで?」


「こいつ、上級の空間精霊なんだよ」


「くうかん…」


その精霊ってこんな気軽にみつけていいものなんですか…?


「そ。んで、あの協会のあの部屋に転移、俺の魔法で時間停止!このコンボで解決だろ?」


「ま、まあ…そうっぽい?かな」


「ほら、**」


「そ、そんなこと言われてもぉ…!キイ様急に連れてきたじゃないですかぁ!」


「ごめんごめん。ほら、いいじゃん。こいつなら俺のお墨付きだし、いけるいける」


「ぇえ、そんな、えっ」


「あー、嫌ならいいよ。そんな強要するもんじゃないしな」


「あ、いや…そんな…」


「な?**ほら、契約しろって」


ぐい、と自分の後ろからキイか精霊を引っ張り出す。俺の前に押し出された精霊に、憐みの目を向ける。

キイの方が上司っぽい。


ばっと後ろを振り向いて、キイの顔を確認したのだろうか。そのままそろそろとこちらに目を向ける。


「じ、じゃあ…」


ぐっと、被っていたフードを深く引っ張って近づく彼に、安心して手を伸ばす。

精霊が手に触れて、その瞬間まばゆい光が部屋にあふれる。


薄く目を閉じて、なんとなく彼とつながった気がした。魔力の道、のようなものが。


「エッと、ぁ…」


「ありがと。名前、教えてくれる?」


「…サキ、です」


「よろしく、サキ」


恥ずかしそうに笑うサキに、嫌がっていないようで安心する。キイが無理強いした感じなら申し訳ないにもほどがある。契約するけど。


「んー、じゃあ夜中サキとキイ呼ぶから」


「おー」


「ぁ、はい」


ばいばい、と手を振って精霊を全員帰す。

少し素っ気ない気もしたが、そんなもんだろ。


ごろ、とベッドに転がる。

天翼族と聞いて、思い浮かぶのはあの襲撃者だった。この世界に来て出逢った天翼族は彼だけだ。


「ウィン、この前の天翼族のステータスだして」


目の前に浮かんだそれを見て、確信する。

クプルティアというらしい彼は、結構な実力者だった。天翼族という珍しい種族もあるが、一番に目が行くのは奴隷状態の文字。おそらく、そういうことだけど。

完全な物理アタッカーらしく、攻撃力と素早さは目を見張るものがある。


「…持って帰ってどうするか、なんだよなぁ」


金は、稼がないとまずい。いくらじいさんに貰ったといってもその程度だ。

この国に来て碌に稼いだ記憶もない。


「まあ、宿屋においてランに結界張ってもらうとか…」


見つからなそう。この世界の事情は知らんが、上級精霊の結界だ。そう破られるものでもないだろう。

暫くは、それで乗り切るか。痕跡さえ残さなければいい。


ある程度金をためて、自由が利くようになったら国をでよう。


「ん、なんとかなるかなぁ」


目を擦りながら、つぶやく。


「そういえば、」





襲撃して来た時の少年に―――翼はあっただろうか。



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