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選ばれたのは魔王でした。  作者: 草原
第一章 クヌール森林とおじいさん
2/27

1-2 能力

 落ち着いてじっくりと見てみるが正直よくわからない。

 称号なんかは効果があるのかもしれないが…。異世界人、つまり異世界から来た人、ということでいいのだろう。もう驚かないぞ。

 女嫌いは称号にするものかは甚だ疑問だが事実ではある。


 問題は「勇者or魔王」だろう。これは俺に選択権があるのだろうか。

 orということはどちらかは選ばなければいけないのだろうか…?


「どっちも嫌だろ」


 どう考えてもどっちもハズレな気がする。このまま保留で良い気がするので置いておこう。


 スキルは固有なんか目立つがこの効果が役に立つのか分からない。まああって困るものではないと思うので喜んでおこう。

 他はおそらく日本で手に入れたものだろう。散策、鑑定はここで手に入れた物だろうけど他のは覚えのあるものばかりだ。


「…ってか詐術って…。俺詐欺師じゃないんだけどなあ。地味に傷つくぞ」


 どこで、何時手に入れたのか不明だがまあ手に入れてしまったものは仕方ない。精々ばれない様にしよう。

 算術や読解は学校での授業のせいだろう。しかし俺は理系の工学系だったんだがそれはないのか。料理も子供たちに作っていたので結構出来るほうだ。


「この短剣って…使ったことないんだけどなあ?」


 日本で短剣なんて持ったことないのだがレベルが3と結構高い。Maxが5らしいのでかなりだろう。


「言語と一緒に神様何かがくれたのかもなー」


 まあ、異世界は魔法があるようだし無い話ではないだろう。取りあえず分からないことは全て神様のせいで良いと思う。

 使ったこともない錬金術なんかも神様のせいだろう。なんかレベルが中途半端で納得いかないが多分そういうこと。


 一応スキルの使い方を学んでおこうと鑑定を使ってみることにした。使おうと思えば簡単に使えたので先程採った木の実に使ってみた。


 ―――――

 名:アプリル

 品質:B

 説明:食用

 ―――――

 名:カルミード

 品質:B

 説明:食用

 ―――――

 名:キィル

 品質:B

 効果:MP1回復

 説明:食用(毒)

 ―――――


 何一つとして知っている物は無かったが林檎(仮)が同じくパクリなのは分かった。

 しかも茶色の木の実はカルミード以外食用ではなかったので森に返しておいた。グッバイ。何気に見つけにくくて一番苦労したんだけどなあ…。

 オレーシィを改めて飲んでみるとくっそ甘くて無理だった。甘いものは好きだがこれは甘すぎる。色は半透明で綺麗なのに味は濃ゆいな。


 アプリルは味も中身の林檎でした。


 カルミードは胡桃みたいな殻に覆われた木の実だったが割ってみると中はこげ茶の大粒の実だった。触感はアーモンドのようで味は…大豆みたいな感じだったな。正直あまり好きではない。


 っと一通り鑑定して木の実以外にも使えるかと思いそばの木に使ってみることにした。


 ―――――

 名:アプリルの木

 品質:B

 ―――――

 スキル:鑑定のLv:2を獲得しました

 ―――――


「お、やった」


 どんな時でもレベルが上がるってのは嬉しいものだと感じながら、何か変化したのかともう一度木を調べてみる。


 ―――――

 名:アプリルの木

 品質:B

 説明:アプリルの実がなる木。アクトに花が咲き、バールに実がなる。人族ではアプリルは一般的な果物の一つ。

 ―――――


 思った通り説明のようなものが増えた。

 アクトやバールといった初めて聞く言葉もあるが文章的に季節か月だろう。折角なのでさっき鑑定した果物ももう一度してみる。


 ―――――

 名:オレーシィ

 品質:B

 効果:HP3回復

 説明:食用

 とても甘く飲み物や料理の材料として使われる。水で薄めて飲むのが一般的。木の実一つ分でHPが3回復する。

 ―――――

 名:アプリル

 品質:B

 説明:食用

 サッパリとした甘みと酸味が特徴の果物。料理の材料として使われる他、デザートとしても使われる。

 ―――――

 名:カルミード

 品質:B

 説明:食用

 菓子類にも料理にも使われる。栄養価が高く数もそろうため人族の間では重宝されている。

 ―――――

 名:キィル

 品質:B

 効果:MP1回復

 説明:食用(毒)

 甘みが強く粘り気のある果汁が特徴。突起の先端の黒い部分は麻痺毒がある。一つでMPが1回復する。

 ―――――


 詳しいと言うかないよりマシ程度の情報だなこれは。

 オレーシィを水で薄めて飲むのはなんとなく考えていた。あれはそのまま飲めない。

 キィルは黒い部分を取れば食べられるらしいのでナイフで切り取って食べてみる。


「んん、あまい」


 説明通り甘く、粘り気がある。なかなか程よくおいしい。

 オレーシィを飲んだあとだからかそれほど甘くない気もする。MPも回復するらしいが満タンなのでわからないな。


 スキルの確認…といっても鑑定しかしていないが一応ステータスは終わったので次のマジカルバッグをタップしてみる。


 何も表示されていないが名前からしてマジカルなバッグだということは分かるので何も入っていない、ということだろう。

 何か入れてみようとするが入れ方がわからない。


「…どうやって入れるの?」


 傍のオレーシィを手に取ってみるが普通のバッグのように開口なんてないので途方に暮れる。

 試しにウインドウの上で落としてみるがそのまま通り抜けただけだった。


「っていうか触れるのに通り抜けるのか」


 不思議なウインドウはさておき色々入れ方を考えていると掌のオレーシィが突然消えた。


「…え?」


 訳がわからず困惑しながら見てみるとそこには確かにオレーシィがマジカルバッグに入ったと書かれていた。


 マジカルバッグ

 ―――――

 オレーシィ 1

 ―――――


 どうやって入れたのか自分でも分からず試行錯誤していると簡単なマジカルバッグの使い方に気づいた。


「なんだ、思うだけでいいのか」


 そのあと何度も突然手元のオレーシィが消えていき、マジカルバッグに入っていた。

 そのときは決まって俺がイラついて入れ、と思っており、もしやと思いそのまま山になっていたオレーシィを見つめ入れと念じてみるとその山は一瞬で俺のマジカルバッグに入った。

 触らなくても入るのか…?盗みしほうだいじゃん。いや、しないけど。


 取りあえず採っておいたものは全て入れておいた。


 ―――――

 オレーシィ 23

 アプリル 18

 キィル 4

 カルミード 38

 ―――――


 全部入ったが上限とかはないのだろうか。あっても困るがさすがに凄すぎないか。…まあ入らなくなった時に考えよう。困った時は後回しだ。



 次はマップか。これは見なくてもそのまま名前で見当がつくだろう。

 見てみるとやはり思った通りこの世界の地図で全く知らない大陸がうつっていた。


 薄く線のようなものがあるがこれは国境だろうか。いまいちよくわからない。

 右のほうに赤い点があったのでスマホの要領で拡大してみると他とはうっすら色の違う場所が映った。


「ここが俺のいる場所か」


 色が違うのは俺の動いた範囲らへんなので行動したり見た場所は色がつくのだろうか。拡大すると右に「クヌール森林」と出ていたのでここはそういう名前なんだろう。


 この世界の事を知らない俺は中々重宝しそうだ。



「ヘルプ」、もうこれがチートの始まりだと思う。

 試しに押すといくつかの項目が出た。


 ―――――

 ・グランフォース

 ・種族

 ・神

 ・スキル

 ・魔法

 ・オート

 ―――――


 タップして開いてみたいのは山々だがそろそろ日が暮れそうなので寝場所というか洞窟なんかを探したほうがいいだろう。

 …洞窟のほうが危険なんだっけか?よくわからんがまあ、出来れば町か村を見つけたい。


 俺はウインドウを閉じてこの世界でも赤い夕陽を見て森を下って行った。





 散々探したが森は森だった。洞窟とかそんな簡単に見つからない…。疲れたので大きな木の下で座って休もうと腰を下ろす。もうここで良い気がしてきた。

 取りあえず歩きながらそこら辺の草や木の実を鑑定して食用だったり使えそうなものは採っておいた。


 オレーシィなどもさらに見つけたが新しい収穫はこの二つだろう。


 ―――――

 名:ピポット草

 品質:B

 効果:HP微量回復

 説明:薬草

 HP回復薬を作る際の材料になる。ピポット草を直接食べても効果はあるが回復量は期待できない。擦り傷や切り傷、打撲等の場合はそのまますりつぶして患部にあててもよい。

 ―――――

 名:パルーム草

 品質:B

 効果:MP微量回復

 説明:薬草

 MP回復薬を作る際の材料になる。パルーム草を直接食べても効果はあるが回復量は期待できない。

 ―――――


 かなり使えそうだったのであるだけ採っておいた。大丈夫大丈夫。自然の力は凄いから。

 その途中鑑定スキルのレベルが上がった。おそらく条件は回数だろう。


 レベルが上がるかもしれないので道中使えるものは使っていこう。



 ☆



 結果、散策はレベル3に、短剣も薬草を刈ったりナイフを振りながら歩くと上がったのでレベル4になった。中々良い成長速度じゃないだろうか。


 もうすっかり暗くなった森をゆっくり歩いていると中々スリリングな気持ちになる。あのまま木の下にいればよかったと後悔する気持ちが無い訳では無いが動いてしまったものは仕方ないと思う。もうここは動き回るしかないと思うんだ。


 ―――――

 スキル:危険察知を獲得しました

 ―――――


 瞬間え、と思ったのもつかの間、何の前触れもなく、俺の背後で草むらが大きな音を立てた。


 思わずゆっくり振り返り、俺はそのまま逃げていればよかったと盛大に後悔した。

 そこには口を大きく開けてよだれを垂らしている、目の赤く光る狼がいたのだ。


 姿を確認した瞬間反射のように腰からナイフを採りだし鑑定した。

 自分でも流れるような動きに驚くがこれが火事場の馬鹿力とかいう…違うか。


 ―――――

 レッドウルフ 魔物

 Lv.3

 HP:32/43 MP:24/38

 攻撃力:32 防御力:21

 魔法威力:21 魔法防御力:26 素早さ:40

 ―――――


 自分と変わらないステータスに喜べばいいのか悲しめばいいのかわからなかった。



最後までお読みいただきありがとうございます。

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