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選ばれたのは魔王でした。  作者: 草原
第二章 クラント王国とティア
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2-7 突然の来訪者

 そう言えば、と買い物い出かけることにしてランと町を歩こうと宿屋を出ようとしたところで気づいた。


 ランもキイも人型だったなあ、と。

 今更感も半端ないが結構自分でも今まで気にしなかった事に驚いている。


 キイはともかくランは完全に女の子の姿なのに全く嫌悪感を抱かない。…いや、全くは言い過ぎた。少ししか、抱かない。


「どうかしましたか?じっと私を見て…」


 どうやら一瞬の思考だったつもりが随分と時間がたっていたようでランが心配そうにのぞき込んできた。

 首を振って歩きながら喋る事にして町に出かけた。


「いや、そう言えばランもキイも人型だなって」


「まあ!スキルレベルが上がったんですね!それでは私の姿も?」


 頷いて良くランを見てみると、ああと合点がいった。


 小さいからだ。


 結局女は嫌いだが、女の子はそれほどでも、ということだろう。実際年下、といっても中学生未満位の子供なら別に自分から触ることも出来るのだ。

 ランは容姿は子供ではないが、サイズ的に女性とは見えない。不幸中の幸いだな。


「そういえばキイはデルやランに比べて大きかったな」


 サイズを思い出しているとキイのデカさがぱっと思い浮かぶ。人間サイズではないにしてもキイだけ二人よりも確実に大きかった。


「それは純粋に階級の差ですわね。お兄様は天級なので私たちよりも力が高いですから」


「はあ、力で大きさが変わるのか」


 何とも不思議な生態である。


「そういえばレオン様は何を探しているのですか?」


 一向に店に入る気のなさそうな俺に疑問を抱いたらしい。まあ確かに入る気は無いのだけれど。


 どうも貧乏癖がついて必要なものしか買わない、というショッピングをするにあたって最もいらない物を所有しているらしい。


「…服でも見に行くか」


 町を楽しむ為に出たのだ。

 買い物しなきゃ勿体ないし、付き合ってもらってるランにも悪いだろう。



 特に知っている店もあるわけでもなく、適当に見つけたそれなりの服屋に入って物色する事にする。

 しかしじいさんに貰った服があるのでそこまで必要性は感じない。精々下着程度だろうか。


「…あ」


 俺が目を止めた先には服ではなく布。綺麗に巻かれた一つの反物があった。


 少し考えて黒い布を取って店員に渡す。


「ありがとうございます、金貨2枚ですね。こちらでオーダーも承っておりますが、どうなさいますか?」


「…俺の膝位の長さのマントにしてくれ。後作業工程も見せてもらいたい」


「申し訳ありません。マントにするのは構いませんが、作業工程はお見せできません」


「…わかった。何時間でできる?」


「2時間も頂ければ」


「そのぐらいの時間にまた来る」


 その後、下着や軽く3着服を買って早々に去った。ランが不思議そうにしているが正直それどころではない。


 店の裏路地に入り、ハア、と大きくため息をつき浅い呼吸を繰り返す。


「ど、どうしたんですか?どこか具合が…?」


 大丈夫、と笑ってズルズルと座り込む。


 正直に言おう、あの店員が女だっただけだ。


 彼女が悪い訳ではないのだがフツフツとした苛立ちが募る。

 まあ、道端ですれ違うぐらいならまだ許容範囲内なのだ。そう、例え肩がぶつかったりなんかしても技とではないのだ、と自分に言い聞かせて我慢できる。

 しかし話しかける、話しかけられるという動作が本当に苦痛でしかない。店員は皆男にするべきだと思う。


 息を整えてヨシ、と立ちあがる。

 まず、作業工程の見学によって裁縫とか良さそうなスキルが手に入らないかな、という理由があった。別におまけ程度の試みだ。もう一つはあの布の素材と値段。


 ―――――

 名:デスデリバードの霊布

 品質:AA

 効果:即死魔法無効、魔法防御力20%上昇

 説明:デスデリバードの羽から作られた黒い霊布。とても頑丈で魔法に対する適正が強い。

 ―――――


 これで金貨2枚、つまりは2万円。高い買い物だが、安い。

 それになんかかっこいい。


 見学は断られるだろうとは思っていた。商売道具でもあるわけだし早々他人に見られる訳にも行かないだろう。

 まあ、見なくても一回実戦すればできるかな、とは思っているので別にいい。自慢じゃない。


「ランはどこか行きたい所ないのか?」


「私、ですか?…そうですね、アクセサリー屋さんなんてどうでしょう。きっと役に立つものもあるでしょうし」


「…アクセサリー屋さんは、ちょっと」


 勘弁してもらいたいかな、と断る。俺から聞いておいて申し訳ない。あそこは店員が高確率で女な上客まで女が多い。

 謝ると気にしないで下さい、と笑顔で「じゃあ図書館なんてどうでしょう!レオン様は元々行きたがっていませんでしたか?」と次なる案を出してくれた。

 本当にいい子だ。


「ああ、行きたいと思ってたんだ。…すっかり忘れてたな。うん、図書館に行くか」


 今後の方針も決まったところで、と裏路地から出ようとする。

 すると焦ったようにランが叫んで―――消えた。


「え?」


 突然の出来事に固まっていると背後から声が聞こえた。


「やっぱり精霊魔導士ですね」


「ふむ、使えるな…しかも見えているらしい」


 気味の悪い男たちの声が聞こえて、俺は―――――

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