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選ばれたのは魔王でした。  作者: 草原
第二章 クラント王国とティア
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2-3ギルドからの始まり

ゲームが好きだった俺だが、そうでなくともギルドマスターというのがどういう人物を指すのかは分かるだろう。

ギルドのマスター、つまりはこのギルドで一番偉い人物だ。


そのはずなのだが…。


何故俺はそんな人物の部屋にお呼ばれしているのだろうか。


「あ、別に怒られるとかじゃないので気軽に入ってください」


彼女はそう言うが言われてそうですか、と入るやつなんているのだろうか。


「大丈夫だと思うよ?強いけど…本気出せば勝てるんじゃないかな」


デルはそう言って安心するよう言うが勝てるかが問題なのではなく、いや、勝てるに越したことはないのだが…。

まずは勝負をしないでいい状況が欲しいのだ。


しかし、勝てるとデルに聞いたことである程度落着きを取り戻してドアノブに手をかける。

ここでぐずっていても変わらないと考えたのだ。


逃げるわけにもいかないし。


「失礼、します」


その部屋はこぢんまりした部屋だった。

大きなソファが二つとテーブルが一つ。大まかにはそれしかない。


そして、そのソファの一つに一人、おっさんが座っていた。

ひょろっとした、気の弱そうな男だ。


「お、来たかい」


おっさんはそう言ってにっこりと目を細めるように笑った。


「えっと…」


「ああ、すまない。そっちに座るといい」


促されて彼の向かいのソファに腰掛ける。

結構上等なソファだったらしく、ふかふかしてて気持ちいい。


「私はこのクラント王国支部のギルドマスター、ルドルフ。よろしくね、レオンくん」


「…よろしくお願いします」


なんとなく、彼の笑い方は嫌いだと思った。

全てを見透かされているようで気持ち悪い。


「まあ、君も突然ここに連れられて混乱しているかもしれないから説明しておこうか」


そんな俺の心情を察してか、早速話題転換に走る。


しかし俺は大体検討はついていた。

じいさんの手紙を騎士に渡すとギルドに案内されて、ギルドマスターに会わせられる。


どう考えてもじいさんとおっさんは知り合い、友人とか、そんな感じなのだろう。


「私はポルクと旧知の仲でね、まあ、きみの持ってきた手紙は私に便宜を図ってやってくれ。そんな感じのものだったんだ」


「なるほど。それで俺はあなたに…」


異世界から来たことがバレたとかじゃなく、予想通りの言葉にホッと胸を撫で下ろす。


「ああ、まあ便宜と言ってもギルドランクを一から審査するとか…図書館の無料使用ぐらいか…」


「図書館…」


「お、なんだ?図書館に興味あるか?」


「あ、まあ」


思わず反応してしまったがこれは良い待遇じゃないだろうか。

ギルドランクの審査とやらはよくわからないが、図書館はこの国に来た理由の一つでもある。


無料とわざわざ言うと言うことは元々は金がかかる物だったらしい。

生憎金には大いに困っているので高額だった場合二の足を踏んでしまう。


「じゃあさっさとランクみようかー、リリアナちゃーん」


俺が了解したと感じたギルドマスターはそのままドアに向かって叫んだ。

先ほどのカウンターの女性をリリアナというらしく、ドアを開けて入ってくる。


「はいはい。ギルドマスター、もうちょっと威厳を持ってくださいよ…もう説明は終わったんですか?」


「もうバッチリ!今からレオン君のランク審査するから…訓練場開いてる?」


「大丈夫ですよ。さ、行きましょう」


今から審査らしいが、どこまで力を発揮していいか決めかねる。

流石にキイやランを呼びはしないが、デルの魔法は使うべきだろうか。


そっとデルに目線をやるとふるふると首を横にふった。

全ての選択をデルに任せる気はないが、ここでデルの存在を示して高評価をもらうよりも俺自身の力の評価をもらいたい。


取りあえず剣の力だけで試してみよう。


方針を決めた俺は部屋をでる二人の後ろについていった。







訓練場には沢山の人がいた。

奥は防具や剣なんかを持った冒険者らしく、ここで剣を振っていたのだろう。


ここでするのか、と少々気が沈みつつも今更断れないと腹をくくる。


「さあ、ここですよ。取りあえず初めはGランクの方としますか?」


「…なにを?」


そういえば審査の内容をまるで聞いてなかったことを思い出す。

ギルドマスター、全然ばっちりじゃない。


「え?…ギルドマスター?説明したんですよね?」


にっこりと笑ってギルマスを見る彼女。

素直に怖いと思った。


「え?し、したよ??ねえ?」


「え?聞いてませんけど…」


言い逃れようと俺に話を振るが、俺は説明とやらを聞いていない。

ギルドマスターには特に庇う理由も思いつかないので正直に言わせてもらう。


一瞬ギルドマスターの顔が絶望の顔に変わった気がしたがきっと気のせいだと思う。


「じゃあ、あの人は放っておいて私が説明しますね」


「あ、お願いします」


「まず、冒険者にはギルドランクと言うものが存在します。上からS、A、B、C、D、E、F、Gですね。最初は問答無用でGから始まるんですけど…今回のように例外が在ります」


「えっと、例えば権力者からの推薦ですね。一応レオンさんはこの事例です。その推薦を受けた方は試験を受けて、その適正ランクから始めることができます。分かりましたか?」


「はい。大丈夫です」


つまり俺はじいさんからの推薦でこの試験を受けるわけだ。


「じゃあ、Fランクの方と手合わせをしていただきます。勝利したら次はF、Eと上がって、負けた前のランクで決定です」


「負けはどうやって決めるんですか?」


「勿論殺してはいけませんので降参と言った方が負けですね」


大体の流れとルールは理解したのでわかりました、と合意を伝える。


「レオンさんは剣士でしたね。それではまずは同じ剣士の方と…」


そう言って俺を訓練場の中央に連れて、どこかに走っていく。

跡を目で追うと色々な人に声をかけているようで行き当たりばったりだなあ、と感じた。


やっと相手が見つかったらしくリリアナさんが男の人を連れてくる。

ぺこりと小さくお辞儀をすると、吐き捨てるように暴言を吐かれた。


「あーあ、なんで俺がこんなガキの面倒見なくちゃなんねえんだか…くっそ、金欠じゃなけりゃこんなはした金の為に働かねーよ!」


「あ、はい。お願いします」


ガラの悪い人だなあ、とぼんやり見ていると更に機嫌が悪くなった。

しかし偉そうなことを言っても、実際俺よりも経験はあるだろうし油断はできない。


鑑定をして男のステータスを確認する。

―――――

シェンク 人族 冒険者Fランク 剣士

Lv.27

HP:154/164 MP:20/20

攻撃力:114 防御力:82

魔法威力:50 魔法防御力:65 素早さ:87

―――――

踏み込みLv.1 剣術Lv.1

―――――

だいたい外の騎士さんと同じくらいのステータスだろうか。少し、シェンクの方が弱いかもしれない。


ちなみに俺のステータスはこんな感じ。

―――――

レオン・グンジヨート 人族 ***

Lv16

HP:320/320 MP:3705/3705(+1400)

攻撃力:141 防御力:247

魔法攻撃力:672(+150) 魔法防御力:620(+130) 素早さ:170

契約者:デル、ラン、キイ

―――――

【固有】スキル獲得確立上昇Lv.1

錬金術Lv.4 畑仕事Lv.3

言語Lv.5(Max) 読解Lv.3

社交Lv.2 散策Lv.4

算術Lv.5(Max) 鑑定Lv.3

料理Lv.2 痛覚耐性Lv.2

詐術Lv.2 探知Lv.2

魔力感知Lv.1 剣術Lv.2

魔力操作Lv.1 精霊目視Lv.2

<召喚Lv.1> <精霊魔法Lv.3>

隠密Lv.3 隠蔽Lv.3

HP自然回復速度上昇Lv.1

―――――

異世界人 女嫌い

旅人 勇者or魔王

―――――


レベルがじいさんとの訓練や道中の戦闘で上がって、それに伴ってスキルのレベルも上がった程度だ。

畑仕事は毎日やってればそりゃあ上がりやすくもなるし、他にも鑑定、探知、剣術、精霊魔法、隠密、散策なんかが上がった。

称号は旅人の(仮)が取れたぐらいか。



さて、この国に入る前から思っていたことがいよいよ確信めいてきた。


俺のレベルとステータスが釣り合ってない。


例えばシェンクさんと俺では彼の方がレベルは高いのに俺のほうがステータスの数値は高い。

しかし未だにその理由は分からずじまいだ。


とりあえずじいさんとの訓練を思い出して全力で戦ってみよう。

正直そんなに差がないので、少し心配だが何とかなるだろう。きっと。


そう思いながら立ち位置につくとシェンクさんもきちんと向かいに立つ。

意外と常識人なのかもしれないな、と思った。






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