2-1 入国にあたって
短いのはもうデフォルトなのかもしれない。
新章突入だぜー。いえー。
国に入る前に軽い検査があるのは当たり前だ。
危険なものを持ち込んでもらっては困るし、犯罪者なんて断固拒否だろう。
しかし、この世界にはそれを判断する技術がない。
そのかわり、スキルや魔法があった。
☆
「ん?お前もクラント王国に入国するのか?」
「あ、はい」
あの森を抜けて数時間。
俺達はすでにクラント王国についていた。
途中冒険者にあったり魔物と遭遇したが何とか着いた。
「何か身分を証明するものは?」
「あー、無い、ですかね」
「…ふむ。犯罪経験は?」
「それは無いです。多分」
「…まあ、嘘は言ってないな」
「…」
なぜそんなことがわかるのか、と不思議に思ったがよく考えればわかることだった。
詐術や隠蔽なんてスキルがあるのだ。それを見破るスキルがあってもおかしくは無い。
―――――
カルザック 人族 新人騎士
Lv.21
HP:134 MP:26
攻撃力:125 防御力:97
魔法攻撃力:51 魔法防御力:112 素早さ:50
―――――
長剣Lv.2
踏み込みLv.2
看破Lv.1
―――――
看破、欲しい。
「あ」
「ん?どうした」
身分を証明する物、で思い出した物があった。
今朝、じいさんと別れを告げた際。
俺は餞別に、と様々なものをじいさんにもらった。
例えばこのバッグ。
俺にはマジカルバッグがあるが、そんなことを知らないじいさんは少し古ぼけた肩から掛けるタイプのバッグをくれた。
例えばお金。
この世界の金を持っていない俺には有難すぎるもので、結構な額をもらったと思う。遠慮は一度はした。二度目は無い。
例えば食料。
例えば地図。
例えば杖。
例えば剣。
例えば―――
と、まあ、本当に様々なものをもらった。
その中に一通の手紙があったのだ。
「まあ、何か困ったらそれを偉い人なんかに渡すといい」
そんな事を言いながら渡された手紙が。
「あの、これ…」
そういいながら俺はただのバッグの中からマジカルバッグに繋げて手紙を取り出す。
カモフラージュにぴったりなのだ。
「…なんだ?手紙?…あ」
「?」
「…ああ、少し待っていてくれ」
「あ、はい」
なんとかなりそうでホッとした。
カルザックさんは哀れみの目で一瞥しておくの部屋へ去ってしまった。
解せない
暫く、といっても数分後だが、カルザックさんが帰ってきた。
「ああ、レオンくん、と言ったかな。ここは通っていいよ。この先の大通りに大きな冒険者ギルドがあるから立ち寄るといい」
「え?」
突然の塩対応ならぬ砂糖対応に戸惑う。
あまあまだ。
「ん?道がわからないかな…?」
「え、い、いえ。そうではなく…」
戸惑う俺とは余所に俺の頭上にずっといたデルは落ち着いていた。
…いや、興味がなかったのかもしれない。
「別にいいって言ってるし行こうよ」
「んん…?まあ、そう、だな?」
「達者でな!」
そんな励ましの言葉とともに俺はめでたくクラント王国へと入国を果たした。
☆
クラント王国は綺麗な国だった。
異世界、ということで少々覚悟を決めていたのだがそれがいい意味で裏切られた。
「いい国だ」
「そう?」
眉を寄せてそう反論するデルにじゃあどう思うのか、と聞くと簡単に答えは帰ってきた。
「だって、綺麗すぎる」
「すぎる?」
意味深なデルの発言に困惑するがデルはそれ以上説明する気が無いらしくポス、と俺の肩に座った。
「まあ、言われた通りギルドでも探そうか」
「ん」
特に用事もないし、行きたい場所も宿屋ぐらいなのでそれなら寄ろうか、と大通りをまっすぐ進む。
白い壁に白い家。白い石を使っているのだから当たり前だ。
そしてその周りに立つ屋台。
人々が行き来する道で物を売ると言うのは効率的だし、これは俺たちのような観光客なんかも対象としているのだろう。
「おう!そこの兄ちゃんレッドウルフの串焼きはどうだい!」
そんな声を無視しながら、あの犬って食えたのか、と戦慄する。
死体をバッグに入れておいたら金になったかもしれない。
「ここ?」
「多分そう。なんかでかく看板あるし」
冒険者ギルドを見つけて中に入る。
色々な物語で見た行動であるが故に、少々緊張した。
まあ、傍からはそうは見えなかっただろうが。
カウンターがいくつか並んでおり、何人かの人が列を作っていた。
昼すぎなので少し人も少ないと思ったのだが、そうはいかなかったらしい。
…しかも受付は若い女性しかいないらしい。
俺も一番列が短い、と思われるカウンターに並んでぼんやりと待つ。
デルと会話なんてするわけにもいかないし。
「次の方ー」
そう言われて俺と受付嬢の目が合う。
ああ、やっと俺の番かとため息をついて目を離しあの、と話しかける。
「あの、ここに寄るといいって…その、騎士の方に言われて…」
「騎士?」
「えっと、国境って言うか…?入国審査をする場所です」
いまいちあそこが国境なのか疑問だったので曖昧に尋ねるとああ!と彼女は頷いてにっこりと笑った。
「ああ!君がレオン君ね!大丈夫、話は聞いてるわ。こっちに来て」
そう言ってそのまま俺の手を取って彼女は歩き出す。
俺は思わずその手を振り払った。
「え?」
彼女はそう言って困惑している様子だったが俺も内心半狂乱だ。
―――忘れないで欲しいが、俺は女嫌いなのだ。
「あ、いえ。すみません。あんまり人と触れ合いたくないので…」
「え、ええ…。別に大丈夫よ…。あ、もう触らないから来てくれる?」
「勿論です」
少々ショックを受けたようだが生憎その顔は俺の目線をさらに地面へと向けさせただけだった。
どこにいくのかなんて知らないが取りあえず黙って着いていく俺。
デルも肩の上で心配そうに座っていた。
「あの…、ここです」
彼女の声に顔を上げるとそこは――その部屋のプレートには、ギルドマスターの文字が写っていた。
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