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選ばれたのは魔王でした。  作者: 草原
第一章 クヌール森林とおじいさん
12/27

1-12 新しい旅

短いです。

 次の日、俺達は二人で山を下っていた。

 最初は一人だったのだが無言でいるのも少し、まあ、アレだったのでデルも呼んだのだ。


「は、はあ…っ、きっつ」


「そういえば…よかったの?」


 じいさんに教えてもらった方角とマップを駆使して下山しているのだが、これが思った以上にきつい。山をなめてた。


 デルがふよふよと飛んで聞いてくるのでああ、と笑ってその場にいなかったデルに説明する。


「まあ、偶然今日だったってだけでいつかはじいさんの家も出なきゃとは思ってたしね」



 あの日、じいさんの家に来客が訪れた日。

 帰って椅子に座って神妙そうに顔を顰めているじいさんに帰りました、と挨拶をするとハッと顔を上げて困ったように眉を下げた。


 不思議そうにどうしたのか尋ねると、意を決したように息を吐いて正面に座るよう促される。

 戸惑いながらそのまま座ると、じいさんは来客との話を聞かせてくれた。


 曰く、この森の東にあるステナー帝国が危機に瀕しているらしい。

 この山の麓にランクA相当の魔物が住み着いているとか。名をフェザードロップバード。長いから略してフェザバ。

 フェザバは名前の通り羽を落として飛行する魔物なのだが、その羽に人に対して毒となる魔素が含まれているんだとか。


 魔素は自然に発生する魔力の源のようなものだ。

 その魔素がフェザバの羽にまざって、そのステナー帝国に大群で飛び立つ。


 本当は孵化する前に発見、討伐をするものなのだが…今、国では少し内乱が起きており、冒険者はあまり立ち寄らず騎士なども警備などに追われて気づけなかったと。


 そしてフェザバは孵化してある程度成長すると必要なエネルギーを求めて飛び立つ。

 何のことはない、ただフェザバの好物が人肉と言うだけだ。


 山の東の麓で孵化して、東の国に飛び立ち、人肉を貪る。


 その被害を少しでも小さくするためにじいさんに助けを求めた、と。

 なんでじいさんなのかと聞いてみると、その訪問者が昔の友人だったので見捨てられなかったとか。


「んで、一緒に行くか、反対に逃げるかって言われて逃げたんだよ」


 怖かった、というのもある。

 当たり前だ。ある程度訓練、練習をたと言ってもそう簡単に自信や度胸は身に付かない。

 しかし、それよりも純粋にそろそろ旅がしたかった。


 今は仮で旅人という称号があるが、それを本当にしたい。この世界を見てみたい。そんな、願望だ。


「まあ、自ら危険に突っ込まなくてよかった」


「なんだそれ…」


 デルのあんまりな言い分に笑う、とデルも笑ったような気がした。


 ―――――

 スキル:精霊目視Lv.2を獲得しました

 ―――――


「あ、」


「ん?」


 脳内で音声が流れると同時に俺の視界が色づく。

 ―――――目の端に金色が光った。





「デル、が、見える…」


「?」


 細い首を傾げたその様子は完成された容姿を更に際立たせる。


 ――――そこには羽根の付いた小さな金髪の美少年が浮かんでいた。



「え、デル、だよな…え、妖精?」


「なに言ってるの…?」


 訝し気に心配するデルだが、一番理解していないのは俺だ。


「なんか、デルが少年に見える…」


「…ああ、スキルレベルが上がったんだね」


 冷静にホッと安心したように笑うデルにそうなんだけど、と落ち着いてくる。


 改めて考えるとそこまで変わって無いような気もする。

 光の球だった頃よりも少し大きいし、人型だし表情が見えるが、寧ろ良いことばかりだ。


「そうなんだけどさ、えっと、今までずっとその姿だったの?」


「うん」


 …なるほど。だとしたら俺にだけ球に見えていた、ということか。

 それならキイとランも人型に見えるのだろうか。


「はー…、まあ、便利になったね」


「そうだね」


「…それにしてもかっこいい…いや、可愛いな?」


「…そう?」


 サラッサラの黄色味の強い金髪にオレンジの眼、掌サイズの体に布がひらひらして何かしらおしゃれな服。

 そして精霊と言うことを裏付ける、背中の羽根。くるりと回る様子なんて天使みたいだ。


「うん、可愛い」


「…ありがと」


 はにかむデルの顔に一瞬目を見張る。彼が人型になってなんだかコミュニケーションがとりやすくなった気がする。


「…そっか、じゃあキイやランもなのか」


「多分ね」


 いったいどんな姿なのだろう、とかなり気になるがわざわざ呼ぶ訳にはいかない。

 俺のただの好奇心、と言うか興味だけで読んだ後の始末が悪い。


「…うん、まあ、いつか見れるか」


「…レオン、また」


「…ん?…はあ」


 突然デルが緊迫した声でささやく。

 また来たのか、と少々うんざりしながら戦闘態勢に入る。



 この山を下りる際、何度も魔物に襲われた。

 そしてそれは







「サンダーショック」


「ギャオオオオォォォ―――!!」


 直ぐに片付く。



「なんか魔物にも慣れたよなあ」


「危ない」


「ああ、そうだね。こういう自信は危ない」


 デルと会話をしながら焦げた魔物から魔石を取り出す。

 レッドウルフの魔石はかなり小さく赤い小石のようなものだ。

 価値は低いらしいが取らないよりマシだろう。


「レオンは解体できないもんね」


「…うるせー」


 クスクスと笑うデルを余所に魔石をマジカルバッグにしまう。


「もうすぐ森から出れるみたい」


「…そう」








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