日向ぼっこの快感
その提案された生き方の変更は
正に活動のためのエネルギーの取得法の変更であった
そして、が我々種族が有能であると主張できるところであるが
正に正しいと思われることを
真に実行することにある
我々の祖先は話し合った
如何に他の生物を食べることなくエネルギーを得られるか
優れた手段が他にあるのではないか、と
当然のことであるのだが
食べることに或る種の快感が伴い
空腹を満たすことが何よりも生きていることを実感する活動であり
子孫を残す作業相手としての異性へのプレゼントには
食べ物が供されることは
この上なく効果的である
その快感を伴う行為、
安易で効果的な生物活動を
紛れもなく我々の祖先は止めた
他の生き物を食べることを止めたのである
そしてそれを実現するために
当然の如くに行き着いた結論が
あの恒星として燃え続け、光り輝き続け
自ら持つエネルギーを宇宙に放散し続けている
太陽の光エネルギーの直接利用
であった
この地上に送られてくる太陽の光エネルギーは
太陽の放出するエネルギーのほんの一部である
放射状に投げ出される膨大なエネルギーの
ほんの一条
一筋である
その僅かなエネルギーをきっかけに
我々地球上のありとあらゆる生物が
一斉に動き出す
そしてそのエネルギーの代謝に酸素を利用していることは
地球上にいる生物の極めて共通なことである
我々も同様であった
我が祖先は議論に議論を重ね
酸素の利用でなく放出も行っている生物、植物に思いあたった
彼らの持つ光エネルギーを固定する手段、
光合成を模することにした
ま、ともかく我々祖先は正に植物的であることを望んだのだ
でも姿はどうしても虫である
もし我々を見かけたら
その秘密を探ってくれたまえ
気軽に問い掛けてくれたまえ
日向ぼっこの快感を
お教えしよう