27‐3
買い物の後の雑談を楽しんだ一行は3人に別れを告げていた。
「次こそは強くなってる……はずッス!」
気合十分にそう言うマルコにノーウィンはふっと笑いかける。
「自分のペースで、な」
「はいッス!」
「心配せんでもマルはウチがちゃあんと立派な商人に育てたるわ!」
横からタアラがそう言うと、マルコはえっと一言、後ずさった。
その様子を笑った後、バルベッドが一行の方を向く。
「気を付けてな」
「次もええモン仕入れとくわ!」
「またね!」
大きく手を振るタアラにローヴも手を振り返した。
一行の姿が見えなくなると、再びバルベッドはマルコと荷運びを始めようとする。
「お父ちゃん」
「ん?」
父に声をかけたタアラは、見えなくなった彼らの方をじっと真剣な眼差しで見つめていた。
「……二丁魔拳銃。あれ、帝国製やね」
「……ああ」
タアラの話にバルベッドは驚かない。
娘はそんな父の方を向く。
「あれ使ってる姉さん、というかみんな気づいてるんやろか。何なら今言いに行った方が」
「タアラ。さっき注意したことを忘れたか?」
バルベッドが厳しい表情でそう言うと、タアラは焦りを見せた。
「でもなんか嫌な予感すんねん!」
しかし父はやはり首を横に振る。
「それは根拠のあるものか?」
「それは……」
タアラはうつむく。
「根拠のないことを安易に話してどうする? そうすることによって彼らに何らかの支障が発生したらどうする?」
「…………」
父の言う通り、今行って「その銃は帝国製だ」と伝えることで何がどうなるのか。
何か支障があった際にどう責任を取るのか。
それを明確にできないタアラは何も言えなかった。
バルベッドは小さく息をつくと、娘の頭をわしゃわしゃとなでる。
「商人たる者、清く、明るく、正確に、だ」
「せやったね……」
ようやく顔を上げたタアラは、父の目を見ると小さく笑んだ。
「まあ、彼らなら大丈夫だろう。何せ俺たちが提供した武器を持ってるんだ」
親子で彼らの方を見つめていると、後ろからマルコがやってきた。
「バルベッドさーん、荷物運んだッスよー」
「おっと、俺たちも仕事しないとな」
「うん!」
タアラは元気よく返事をする。