1話:出会いは衝撃的なほうがいいと言うけど、やりすぎな状況
〜1〜
さっき確認した時計の指す時間はギリギリ8時5分、何とか俺は初日に遅刻せずに済んだ。
俺はドアを開け、教室に入ると、いるはずの人々がいない、時計がずれていて遅刻でもしたのか、俺・・・
アレ、でもバッグが床に1つおいてある
「あ、来たんだ」
と後ろから、声が聞こえた
驚き後ろを振り向くと、そこには肩ぐらいの長さまで髪が伸びていて、元気がよさそうな、美(?)少女がいた。
「君も5組?」
と少女は尋ねた。
手に何も持っていないところをみると、あのバッグはこの少女のものだろう
「あぁ、そうだけど、おまえも?」
とこちらも尋ねると、少し頬を膨らませ
「初対面の人にはおまえは失礼だと思うけど、うん、そうだよ」
「スマンスマン、名前がわからなかったから」
「あぁ、私の名前?私は、昇樹 花梨」
満面の笑みで自己紹介をされた
「で、そっちの名前は?」
「あぁ、俺は和泉祐一、よろしくな」
「よろしく、イズみん♪」
背中に寒気を感じた
「イズみんはやめてくれ」
昇樹は少し残念そうな顔をし、
「え〜、かわいいのに〜」
と言った。
まぁとりあえず入り口で話し続けるのもなんだからちゃんと教室の中に入り、ワックスがけを最近したような感じの床に座る
ふと気づき、
「そういえば、他の人たちは?」
「来てないよ」
「何でだ?」
「遅刻じゃない?」
「いや、もうチャイム鳴るだろ」
「そうだね」
その時チャイムが鳴りだした。
ほぼ全員遅刻したことになるんだろうな、これ
俺、そんなに急がなくてもよかったかも
〜2〜
チャイムが鳴り、数分たった時教室の外から大きな足音が聞こえてきた
「うわ、なんだ!?」
「地震?」
そんな疑問を持っていたとき、教室のドアが開かれた。
いや、打ち破られた。
「モ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
黒と白の模様を持った大きな牛によって
「いや、何で!?」
「立派な牛だね♪」
「いや、そうじゃなくて、何で牛が教室に入ってくるんだよ!?」
「おぉ〜いい子、いい子〜」
「いや、人の話し聞けよ。」
もう俺は少し呆れていた。
「よし、この子は学校で飼おう!」
わずか数秒で俺の心は少しじゃなく、かなりに変わった。
「やめとけ、たぶん近くの家のが逃げたんだろう。返さなきゃ、飼い主が心配するぞ。」
「うぅ〜、ウシ子〜。もぅお別れだよ〜」
ウシ子って、これオスだと思うぞ。
「で、昇樹、この牛いつ返しに行く?」
昇樹は少し涙目の顔を上げ
「今から飼い主を探しにいこう」
「今からって入学式はどうするんだ?」
昇樹はう〜んとうなったあと、手をポンッと叩いた。
「そうだ書置きをしておこう。いい事だから先生もきっと許してくれるよ」
「そんなことで大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫」
と昇樹は言い、自分の持ってきたメモ帳に内容を書き込み、机の上においた。
「よし、じゃぁ、飼い主探しに出発!」
「いってらっしゃい」
「え、イズみん行かないの?」
「イズみん、言うな。え、俺も行かなきゃ行けないのか?」
「そりゃ、そうでしょ。一人や二人のほうが速く見つかるよ」
といい、俺の意見を聞こうともせず、昇樹は俺の腕を握り、
「よし、改めてウシ子の飼い主探しに出発!」
「いや、俺の話を聞け〜」
牛と俺は昇樹につれられ、教室を後にした
教壇の上には「牛返しにいきます 昇樹&和泉」と書かれた紙だけが残されていた