6話
『死を呼ぶ黒い招き猫』
都市伝説を考察していると、地震にまつわることが出てくることがあります。
あの時の大地震は人工地震だ。ウソかマコトかわからない話だが、面白さもある。
そんな地震のことを調べ、考察する。そうすると、明らかに異質な地震だと思うモノもあります。
胸がざわつくような、何故か気になる地震。
親しい友人に、そのことを話すと「そんなのは貴方だけだよ」と言われてしまった。たしかに、地震に対して何故か胸がざわつくと思うことは、変なことかもしれない。
でも、そんな地震を見つけた時だった。震源地からほど近い場所にある神社。その場所は私の住む場所から、車で2時間ほどの場所。
少し遠いが、行けない場所じゃない。だけど、妻には言い出しにくい。
「何それ?」
こう言われるのが、わかっているから。そんな時でした。
「私さ、最近ちょっとやってみたいことあるんだよね」
妻のアキコが話を切り出した。
娘が大学を卒業し、就職して1年。実家から1時間ほどのところにあるホテルに勤め、会社の寮に住んでいる。
休みの日に帰ってくると、楽しそうに話す娘。そんな娘の姿に、妻もやる気を出したようでした。
娘を産む前は妻もホテル業の仕事をしていました。そんなこともあり、思うことがあったのだろうと。
妻と相談し、妻は半年ほどの短期間のリゾートバイトをすることになりました。場所は自宅から2時間ほどにあるホテル。
通勤するには遠いので、会社の寮に住むことに。
自宅に残されたのは、私と老犬のロコット。コロコロとしてるから、ロコット。久しぶりの一人暮らしには、ちょうどいい相手もいる。
だから私は妻を笑顔で送り出しました。そんな日の夜から、その出来事は始まりました。
数日前に妻は何本かの韓国ドラマのDVDを借りていました。AmazonやNetflixにもなかったドラマ。休みの日から仕事の日に切り替わる合間の息抜きにはちょうど良かった。
そのレンタルDVDを仕事終わりの私が返しに行く。青森の田舎だから、お店がある場所は車で20分ほどにある場所。
久しぶりの一人でのゆっくりとしたドライブを楽しみながら、次の日のことを考えていました。
気になっていたあの神社に行ってみよう。何時に起きて準備したら、何時くらいには帰ってこれるだろうか。
そんなことを考えながら、返却し、帰宅する。
あともう少しで自宅に着く。カーブを曲がった先に、民家が見え始め、自宅が姿を現した。
我が家の隣には誰も住んでいない家があります。その空き家の目の前の道路に、ナニカが横たわっていた。
ライトに照らされ、徐々に輪郭がハッキリとしてくる。
それは猫だった。黒い猫。
「轢かれて亡くなったんだな」
田舎ではよくある光景です。悲しむことも憐れむこともない。いつもの光景です。
だから、特に気にすることはありませんでした。
私はそのまま家の中に入り、老犬の世話をし、一緒に眠りにつきました。
翌朝。
支度を済ませ、早くに家を出ると、目の前には黒い猫が横たわっていました。昨日は暗くてよく見えなかったが、改めて見ると急に死というものが現実を帯びてきた。
だが、それ以上の感情はなかった。これから向かうことのワクワク感の方が大きく、私はその死んだ黒猫のことは考えることはありませんでした。
道路にある死体は夕方には回収されていなくなる。それがいつものこと。そう思いながら、私は少し遠い場所にある神社へと向かい始めました。




