3話
仕事はさらに忙しくなり、第一工場の方でも夜勤をやるようになりました。
新たに派遣社員を何名か雇い、私は第一工場と第二工場の夜勤担当者として二つの工場を行き来するようになりました。
派遣の人は第二工場で、私は第一工場の方で夜勤をし、トラブルがあれば第二工場に行って対応する。そんな日々の生活が始まるようになりました。
第一工場の方は私一人。第一工場でも幽霊が出るということは聞いており、時折人の気配がすることはありましたが、怖い感じはすることもなく、平穏に過ごしていました。
でも、私はあることに気づきました。当時は気づくことはありませんでしたが、今なら、その怪異が理解できる。
私の自宅は町と町の境目にあるところ。そこから徒歩5分の第一工場も、また境目にある場所でした。
私は幽霊を直接見たわけではありません。先輩から聞いた話になります。
その工場がある場所は十字路の交差点のところでした。十字路といっても、一本は小さな脇道で、実質は丁字路のようなもの。
そして、その道路を通る車の9割はL字のように通行するような道路でした。
だから、時々事故が起こる。夜の遅い時間に。
街の灯りはその工場だけ。事故を起こした人は真っ先に工場に助けを求めに来る。
「幽霊より、血だらけの人が窓の外にいる方がよっぽど怖いよ」
先輩はよくこう言っていました。
この先輩が幽霊を見ることができる人です。
「でも、第一工場に出る幽霊もきっと助けを求めにきてる幽霊なんだよね。だからここの幽霊は白い幽霊なんだよね」
この場所は人も幽霊も助けを求めに来る場所。
町と町の境界線にあるこの場所は生と死の境界線でもあることに、私は気づきました。
私が住んでいるアパートも、町と町の境界線にあるので、生と死の境界線。
事故物件の会社と事故物件のアパートが起こした怪異は生と死の狭間での出来事だったのかもしれません。これが当時私が体験した実際のお話です。
そして、私はこの会社を一身上の都合で辞めるになりました。
その時、第二工場の方に出る幽霊の正体もわかりました。
あの黒い幽霊の正体を。




