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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊7/1発売:商業ノベル&漫画化進行中


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【番外編】落ち着け、ベルナード・フィン

「ベルナード、聞いたか? 団長がさっき国王陛下と謁見し、今回の勝利の褒賞として、何を望んだと思う?」


「あー、それな。うーん、ずっと考えていたけど、既に爵位を賜り、騎士団の団長だ。そうなると……領地か、お金か、金銀財宝か……」


「驚け。貴族令嬢との結婚を望んだ。しかもミルフォード伯爵家の令嬢との結婚を」


 王都へ帰還し、ひとまず騎士団宿舎に戻り、ようやく装備から解放された時。

 同僚騎士からこれを聞いた自分の感想は……。


「……令嬢との結婚!? それにミルフォード伯爵家の令嬢? 誰だよ?」――だった。


 日々の訓練に明け暮れ、そして戦地へ投入されている。

 その間、色恋沙汰とライルは無縁だったはずだ。

 それなのに褒賞で貴族令嬢との結婚を望むなんて。


 しかも伯爵令嬢?


 出世を狙うなら、嫡子がいない公爵令嬢だろう?


 でも……そうか。

 嫡子がいない公爵家は今、いない。

 まんまと婿養子になり、公爵となり、その地位を継ぐ……は無理なわけだ。


 それにどうも爵位や団長になることを望んだライルだが、出世するとか、金持ちになるとか、そういった野望で動いているようには思えない。なんというか団長になること。侯爵になることが必要だった……そんな風に思えてしまう。


 その真相を知るにはライルを直接問い詰めるしかない。だがライルは国王陛下との謁見の後は諸々報告もあり、まだ宿舎には戻らないはずだ。そうなると……。


 自室を飛び出した自分は声を上げる。


「ローク、シダル、レニー! 居酒屋へ行くぞ!」


「え、この時間から!?」「まだ昼前ですよ?」「どうしたんです?」


 三兄弟に「お前ら夜は母ちゃんに会いに行くんだろう? 行くなら今だ。情報収集だよ!」と告げた。すると「「「なるほど」」」と素直に応じ、三兄弟は自分についてくる。


 三兄弟の窮地を助けたのはライルだけではない。おまけであるが、わたしもいたのだ。ゆえに三兄弟は自分が何か言えばちゃんと応じてくれる。


 こうして昼前から飲んだくれが集まる居酒屋へ向かう。


 そこにいるのは酔っ払いだから、まあみんな面白いようにベラベラ話してくれる。


 その話を聞いて分かったこと。


 ミルフォード伯爵家の令嬢――ユーリ・ミルフォードは今、この王都で、社交界で、話題の令嬢だった。先日、社交界デビューを果たしたばかりだが、とにかく可愛らしいという。王都中の令息のハートを鷲掴みだと言うのだ。


「十六歳のピチピチのご令嬢らしいぞ。明るいブロンドに濃い紫色の瞳で、お人形さんみたいだとか。王都で開催される舞踏会という舞踏会、晩餐会に顔を出し、それはモテモテらしい。王都中の貴族の令息はもちろん、平民でも金持ちの奴は求婚状をミルフォード伯爵に送りつけていると、もっぱらの噂だ」


 これを聞いて、驚くしかない。


 ライルは戦場にいたのに、一体どうやってそのユーリなる令嬢の情報を手に入れたのだ?

 しかも聞けば聞くほど思ってしまう。

 見た目は相当愛らしいのだと思った。

 だが十六歳という年齢だからだろうか?

 幼い。

 貴族令嬢にしてはマナーや礼儀がなっていないと思う。

 酒に酔っているわけでもないのに、舞踏会で令息に抱きついたり、やたら体に触れるというのだ、そのユーリは……これはどうかと思ってしまうのだ。


 もし婚約者が自分以外の男にべたべたしたら……嫌だと思う。


 ライルはどうしてこんな令嬢を、ザーイ帝国に対する勝利の褒賞として望むんだ?


 理解できないし、納得できない。

 ……いや、でも……。

 女の趣味に対してまで口出しをするのは……。


 だがそのユーリという令嬢。

 ライルと結婚しても男遊びをしそうだ。

 しかしライルは一直線。

 伴侶に対しては真心を尽くすだろう。

 そうなったらユーリの裏切りに悩むはず。


 ライルはこの八年間。

 血のにじむ努力を続けた。

 そして凡人では成し得ないことを成し遂げたのだ。


 友として願う。

 幸せになって欲しいと。


 伴侶選びは慎重に!と思ってしまうのだ。


 というか水臭いだろう、ライル。

 なぜ事前に自分に相談しないんだ?

 ユーリ・ミルフォードとの婚約を考えていると!

 わたしにはその話をするだけの価値がないということか!?


 ……違う。

 ライルはいつもそうだ。

 意志が強い。

 こうと決めたらそこへ突き進む。

 社交界でユーリが名を馳せる前から、彼女のことを知っていたのでは?

 ずっと昔からユーリと結婚したいと、心から決めていたのでは?


 それが正解なら。


 ライルは長い片想いの末に、ユーリとの結婚を望んだ可能性がある。


 まさか。

 まさか。


 爵位を望み、騎士団の団長になることを願ったのも、そのユーリのためなのか!?


 もしもこれが正解なら、止められない。

 だってライルの幸せ、それすなわち、ユーリとの結婚なのだ。


 落ち着け、ベルナード・フィン。


 全ては想像に過ぎない。

 まずは話そう、ライルと!

お読みいただき、ありがとうございます。

本作でお久しぶりの読者様、本年もよろしくお願いいたします!


どうしても兄貴のことを書きたくて、書いちゃいました。

読んでいただけて嬉しいです。心から感謝です☆彡


ちなみに年末年始に全13話完結の作品を一挙公開したり

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新春特別更新をしています。

沢山あるのでマイページの活動報告やXを見ていただけると幸いです~

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