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私の白い結婚  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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やはりあの件は……

「チェイスはお酒に酔っていたとはいえ、秘密をベラベラ私に話し、どうするつもりだったのでしょうか? それこそ私がライルに話すことを想定できない程、酔っていたのかしら?」


 するとライルはふわりと私を抱き寄せ、額へキスをする。


「アイリが無防備過ぎて、心配になります。あの状況で、想像できませんでしたか? チェイスは好きなだけしゃべった後、アイリを口封じするつもりでいたんですよ」


「え、まさか、こ、殺そうと……」


「殺すのと同等かと。その体を蹂躙し、『夫以外に抱かれたとバレたくなければ、僕が話したことは、一生お前の胸にしまっておけ』とでも言うつもりだったのでしょう」


 これにはサーッと顔を青ざめさせることになる。

 エドガーに手を出されることは、殺されるにも等しい。

 いや、等しいでは終わらない。

 殺される以上だ。

 なぜなら私は既婚者だが、まだ乙女なのだ!

 初めてをよりにもよってエドガーに奪われるなんて、あってはならない。


「本当に何もなくてよかったと思う反面。家具屋というアイリの知らない世界で働く人間への興味……それゆえにエドガーと食事をしたり、お茶をしたり、舞踏会にまで同伴する。少し行き過ぎていると、自分は思えてしまうのですが……」


 これには盛大に心臓がドキリと反応する。

 改めて指摘されると、自分でも行き過ぎのような気がしてしまうのだ。

 それもこれもエドガーが、あの日の少年だからと信じていたからで……。

 つまりエドガーが昔私を助けた少年だと思い、ガードが緩んでいたと思うのだ。


「若旦那様、若奥様、入浴の用意ができました」


 フィオナの声掛けでこの話はここで終わり、私は入浴することになった。


 ◇


「ではナイトティーをどうぞ」

「ありがとう、フィオナ」

「今晩はもう下がっていいわよ、フィオナ」

「了解しました。おやすみなさいませ、若旦那様、若奥様」

「「おやすみ」」


 フィオナもまた、使われていない騎士団宿舎の一室で休むことが許されたので、ナイトティーを出してもらうと、下がってもらうことにした。


 既にライルも私も。


 入浴が終わっている。


 ライルは支給品の黒に近い紺色のガウンを着ているが、とても良く似合っている。胸に刺繍されている騎士団のエンブレムが実にカッコいい!


 私の着ている白いのガウンは、メイドの支給品。こちらは刺繍などもないシンプルなものだ。


「アイリ、湯冷めして冷えるといけないです。もっと近くに来てください」


 ライルがぐいっと私の腰を抱き寄せるので、その胸にぽすっともたれてしまう。


 いつもの爽やかなミントの香水ではなく、石鹸の清々しい香りがしていた。


「温まりますよ」


 続けてナイトティー……ジンジャーレモンティーを渡された。

 まだ湯気も立ち、熱いと分かるので、「ふー、ふー」としていると……。


「アイリ……」


 甘々なライルの声が聞こえたと思ったら、頬に「ちゅっ」とキスをされている。


「……お風呂上りだからか、アイリの肌がみずみずしく、さらに弾力があり、気持ちいいです……」


 そう言うとライルがキスを繰り返すので、あやうくジンジャーレモンティーを落としそうになる。


「つい、やり過ぎました」とライルはキスを止め、自身もジンジャーレモンティーを口に運び、大きく息を吐く。そして改めて問われた。


「アイリにとってチェイスは、何か特別な存在なのでしょうか」


 入浴を挟み、その件は免除された……!

 そう思ったが、そうではなかった。

 ライルは……気になっているのね。


 ここはもう話すしかないかな。


 初恋。


 エドガーがあの日の少年かと思ったが、結局違っていた。

 しかもアイスシルバーの髪は北の地、敵対関係が長く続いたザーイ帝国にルーツを持つ。


 もうあの少年は、この国自体にいない可能性が高い。


 偶然の再会なんて、この先もないだろう。

 本当に、二度と会うことはない。

 終わったのだ。


 そう、終わった初恋の話。


 ライルに話してもいいだろう。


「ライル、ずっと話さないでいたことがあります。それを話しますね」


 私の言葉に、ライルが背筋を伸ばす。

 さすが騎士団長。

 姿勢が美しい。


 そこから私は、子供の頃の話をする。

 秋の収穫祭で迷子になってしまったこと。

 迷子になった私を助けてくれた少年のこと。

 彼が銅貨をかき集めるようにして買ってくれたコットンキャンディ。

 再会を誓い、でも彼の名を聞くことなく、別れてしまったことを。


「私は自分の名前と、ミルフォード伯爵家の紋章が刺繍されたハンカチを渡しました。だから少年は私が誰だか分かっているんです。でも私は少年の名前も分からず、覚えているのはその姿だけ。アイスシルバーの髪に碧眼。そして少年が残した『いつか大人になり、俺が立派になったら、君に会いに行く』という言葉だけが頼りで……。ずっと待っていました。彼が会いに来てくれることを」


 ティーカップを置き、私は明るい声で告げる。

 これがもう終わった話であると伝えるために。


「でもさすがに気づきました。もう会いに来ることはないだろうと。少年は別に嘘をつく気持ちはなかったと思います。会いに行こうとその時は……思ってくれていたと思うんです。でも身分、それにあの髪色のルーツがザーイ帝国にあると思うと……。会いに来ることが、難しくなってしまった。彼が私の前に現れることはない。そう、いつしか諦めることになりました。そうしたらチェイスが現れて……」

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